日本の技術で宇宙旅行を実現する「将来宇宙輸送システム」
「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を宇宙でも。」
将来宇宙輸送システム株式会社は、このビジョンを掲げ、宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指す、注目のスタートアップ企業だ。急成長する宇宙ビジネスにおいて、革新的な研究開発を推進し、日本の宇宙産業を牽引する存在として注目されている。
公務員から宇宙ビジネスへ転身 - ベンチャーの力で日本の宇宙産業を創る -
同社の代表取締役社長兼CEO 畑田康二郎氏は、元々は国家公務員として経済産業省に勤務していた。エネルギー政策や産業政策に携わる中で、日本の宇宙産業の現状に課題を感じ、自らプレイヤーとなって宇宙産業を創出したいという強い思いを抱くようになったという。
2022年5月、将来宇宙輸送システムを設立した畑田氏は、宇宙業界では珍しい漢字の社名について、文部科学省内の検討会「革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会」から引用したと説明する。
「今や、宇宙ビジネスの主人公は国からベンチャー企業へと移り変わっています。文部科学省の検討会でも、ベンチャーの力で将来の宇宙輸送を解決していくべきだという議論があり、それがそのまま当社の事業戦略になっています」と畑田氏は語る。
仲間と力を合わせ、アジャイル型開発で宇宙輸送システムの実現を目指す
主席研究員の庄山直芳氏をはじめ、宇宙開発を目指す仲間たちが集まり、現在では社員43名、業務委託や派遣を含めると約70名のメンバーで構成されている。
「新しい開発に最初の段階から関われるところに魅力を感じました。他の業界からキャリアチェンジをして宇宙開発を目指す人や、重工メーカーを定年退職し、知見を若い世代に継承したいと当社に来てくれるシニアもいます。両者がうまく結びついています」と庄山氏は話す。
将来宇宙輸送システムは、宇宙空間を経由して大陸2地点間を高速で移動する手段「P2P」の開発を目指し、今後5年程度で再使用型ロケットの開発というチャレンジングな目標を掲げている。
目標達成には、ダイナミックな開発戦略とパートナーシップが不可欠だ。同社は、独自の開発プラットフォームを用いてアジャイル型の開発に挑戦し、日本の重工メーカーや優秀な技術を持つ海外企業との連携を強化している。
「今年は小さいものを飛ばし、そのデータに基づいて性能を高め、来年はもう少し大きいものを飛ばすというように、毎年進捗を出して、結果を見せながら連携パートナーを増やしていく方針です」と畑田氏は説明する。
東京立地のメリット - 多様なプレイヤーが集積し、交流・共創が促進 -
同社は、中央区日本橋の本社のほか、江東区にラボ、大田区にベースと、都内3カ所に拠点を持つ。東京立地のメリットについて、畑田氏は次のように話す。
「日本橋は、日本の宇宙ビジネスの中心地です。X-NIHONBASHIをはじめ宇宙関連のベンチャー企業が集積し、さまざまなプレイヤーとコネクションを築きやすい環境です。また、どこへ行くにも便利で、本拠地として申し分のないロケーションです。連携パートナーとコミュニケーションがとりやすく、名古屋サテライトや地方でリモートワークをする社員の本社出張も負担が少ないです。加えて、海外のパートナーのもてなしにも、最先端の街でありながら歴史が感じられる日本橋エリアは重宝しています」
庄山氏は、青海ラボについて次のように語る。
「東京都立産業技術研究センター内にある青海ラボは、研究開発の拠点という位置づけです。同じ建物内に各種機器を利用できるサービスがあり、依頼試験にも対応しているのでとても便利です。加えて、お台場エリアは東京のど真ん中にいることを実感しつつも、落ち着いていて研究に没頭できる好環境です。東京タワーやレインボーブリッジ、海の眺めが気持ちよくモチベーションが上がります。また、東京ビッグサイトが近いのも利点です。多様なジャンルの展示会があり情報収集がしやすいし、連携パートナーが展示会への出張がてら立ち寄ってくれることも多いです」
未来への挑戦 - 次世代型宇宙港で日本列島を宇宙港に -
将来宇宙輸送システムは、2024年12月頃に最初の試験機の打ち上げを予定している。さらに、次世代型宇宙港のワーキンググループを発足させ、ロケットの打ち上げや着陸を行うだけでなく、商業施設やエンタメ施設、宿泊施設などを一体的に開発していく構想を描き、陸上だけでなく、洋上にも検討範囲を拡大している。
「洋上の施設であれば、太平洋側を移動して各地で打ち上げができるかもしれません。日本列島を丸ごと宇宙港にするぞというコンセプトで、私たちと一緒に考えてくれるメンバーを募集しています」と畑田氏は意気込みを語る。
まとめ
将来宇宙輸送システムは、日本の技術力を結集し、宇宙往還を可能とする輸送システムの実現に挑戦している。アジャイル型開発と多様なパートナーシップを通じて、宇宙ビジネスの革新を牽引していく。同社の挑戦は、日本の宇宙産業の未来を大きく変える可能性を秘めている。
将来宇宙輸送システム株式会社 概要
会社名: 将来宇宙輸送システム株式会社
所在地: 東京都中央区日本橋1-4-1
代表者: 代表取締役社長兼CEO 畑田康二郎
設立: 2022年(令和4年)5月
事業内容: 革新的な宇宙輸送システムの事業化に向けた企画検討
ホームページ: https://innovative-space-carrier.co.jp/
宇宙旅行 特設サイト: https://innovative-space-carrier.co.jp/space-tour/