STマイクロエレクトロニクスとQuoblyが築く量子コンピューティングの未来
世界的な半導体メーカーであるSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM)は、量子コンピューティングのフロンティアを進めるスタートアップ企業Quoblyとの戦略的協力を発表しました。この提携は、量子プロセッサの大量生産に向けて、STの通信技術である28nm FD-SOI(Fully Depleted Silicon on Insulator)プロセスを活用し、コスト競争力のあるソリューションを創出することを目的としています。
2031年に向けた大野望
STとQuoblyの共同の目標は、2027年までに第1世代の製品を商業化することです。その先には、2031年までに100万量子ビットを達成し、医薬品開発、金融シミュレーション、気候モデリングなど、さまざまな領域での実用化を目指します。両社は、FD-SOI技術を基にしたプロセスで、研究開発コストの削減と製品のスケールアップを同時に達成しようとしています。
量子マシンの初段階
この協力における第1段階では、STは28nm FD-SOIプロセスをQuoblyの求める仕様に合わせることで、100量子ビットの量子マシンを開発することを目指します。そのデザインと試作、実用化において、STの垂直統合型の製造モデルを駆使し、300mmウェハ工場での量産を実現する能力がQuoblyに求められます。
先例のない共同作業
QuoblyのCEOであるマウド・ヴィネット氏は、「この協力は、量子コンピューティングの新たな先例を作るものです。STと密接に連携することで、私たちのプロセッサ技術の実用化を早められることを嬉しく思います」と語ります。また、STのマイクロコントローラーデジタルICRF製品グループ社長であるレミ・エル=ウアザン氏も、量子コンピューティングが持つ大きな可能性を強調しています。
経済的に実現可能なソリューション
Yole Groupのチーフアナリスト、エリック・ムニエ氏も言及。量子技術には長期的な開発が必要ですが、STマイクロエレクトロニクスとQuoblyの協力合意は、コスト効率の高い量子コンピューティングプロセッサの実現に向けた大きな成果となるでしょう。量子技術を実現するためのSWaP-C(サイズ、重量、消費電力、コスト)課題を解決するために、CMOSのウェハ製造の活用が期待されています。
QuoblyとSTの未来
Quoblyは、半導体量子ビットに基づいたフォールトトレラントな量子コンピュータを開発し、2031年までに100万量子ビット突破を目指すパイオニアとして注目されています。STもまた、世界を変えることができるテクノロジーの開発に注力し続けています。今回の協力によって、両社は次世代の量子コンピューティングを切り開くことができるでしょう。
今回の提携は、量子コンピューティングにおける新たなステージを迎える第一歩となることが期待されます。今後の進展に注目していきたいです。