建設工事紛争審査会:令和6年度第1四半期は新規申請12件、過去3年間で最多
建設工事紛争審査会:新規申請件数増加、建設業界の課題浮き彫り
国土交通省が発表した中央建設工事紛争審査会の令和6年度第1四半期の紛争処理状況によると、新規申請件数は12件となり、前年同期比で5件増加しました。これは過去3年間で最も多い件数です。
建設工事紛争審査会は、建設工事の請負契約に関する紛争を裁判によらずに迅速かつ公平に解決するための機関です。建設業法に基づき、国土交通省と各都道府県に設置されています。
今期の申請件数増加は、建設業界全体の課題である請負契約に関する紛争の増加を示唆しています。具体的には、下請負人から元請負人への争いが5件と最も多く、次いで個人発注者から請負人、法人発注者から請負人への争いがそれぞれ3件ずつとなっています。紛争の類型では、工事代金の争いが6件と最も多いことがわかりました。
建設業界では、近年、人手不足や資材価格の高騰、コロナ禍による影響など、様々な課題を抱えています。これらの課題が、請負契約に関する紛争増加の一因となっている可能性も考えられます。
国土交通省は、建設工事紛争審査会を通じて、建設工事の請負契約に関する紛争の早期解決を図るとともに、建設業界全体の健全な発展に貢献していく方針です。
建設工事紛争を避けるために
建設工事紛争を避けるためには、契約段階での十分な協議と、契約内容の明確化が重要です。発注者と受注者は、契約締結前に、工事内容、工期、代金、支払い方法、責任分担などをしっかりと話し合い、契約書に明記する必要があります。
また、工事の進捗状況や変更などを記録しておくことも、紛争発生時の証拠となるため重要です。
建設工事紛争は、当事者双方にとって大きな負担となるため、可能な限り発生させないように、日頃から注意が必要です。