静岡県静岡市清水区に新たにオープンした「長澤瓦商店」が日常生活の中で瓦の新たな魅力を発信しています。この専門店は、瓦を用いたインテリア雑貨やアクセサリー、さらには手作り体験ができるワークショップを提供し、地域文化の再興を目指しています。
長澤瓦商店は、静岡清水で50年以上の歴史を持つ長澤瓦商店株式会社が運営しています。代表取締役の長澤玲奈さんは、父親が瓦葺き師である影響を受け、幼少期から瓦への情熱を育んできました。「瓦という素材が持つ可能性を広げたい」との思いから、瓦を身近に感じてもらう商品を作り始めたそうです。
この地域では昔、巴川を中心に瓦の製造が盛んでしたが、1974年の七夕豪雨によって多くの瓦屋が廃業し、清水瓦文化は途絶えてしまいました。長澤さんの祖父もその伝統職人の一人でしたが、時代の流れにより、清水瓦は忘れ去られつつあります。長澤さんは、瓦の魅力を復活させるプロジェクトに取り組む中で、この新しい店舗の開設を決意しました。
長澤瓦商店では、瓦の特性を生かした商品づくりが行われています。たとえば、瓦の吸水性を利用したアロマストーンや、独特の質感を持つインテリア雑貨などがラインナップされています。これらの商品は、実際の瓦と同じ製法で作られており、使用することで段々と滑らかさが増し、経年変化を楽しむことができます。長澤さんは、「瓦の良さを直接手に取って感じてもらうことが重要です」と語ります。
特に注目なのが、ワークショップです。所要時間は約1時間半から2時間で、価格は2800円から5400円の範囲で参加できるこの体験では、季節ごとのテーマに応じて、自分自身で瓦小物を制作することができます。参加者は瓦の歴史や作り方を学びながら、オリジナルの作品を生み出すことができ、世代を問わず楽しめる内容となっています。
長澤さんは「長澤瓦商店は、瓦を通じて人々が新たな発見をし、自らの創造性を表現する機会を提供したい」と考えています。日本の風景を形作ってきた瓦が、新たな生活文化の一部として再評価されるための第一歩を踏み出しました。
店舗は静岡市清水区能島に位置し、営業時間は午前10時から午後4時まで。日曜日と月曜日は定休日となっています。興味のある方はぜひ公式サイトを訪れて詳細を確認し、長澤瓦商店で唯一無二の瓦の世界を体験してみてください。