長岡市の老舗味噌蔵を引き継ぎ地域の味を守る挑戦
新潟県長岡市三島地区に位置する老舗味噌蔵「柳醸造」が、地域や顧客からの熱い思いを受け、有限会社寿々瀧(SUZU GROUP)に事業を譲受されることになった。この歴史ある味噌蔵は、130年以上の歴史を誇り、その特色ある味わいを地域の食文化の一部として支えてきた。今後はSUZU GROUPがその味を引き継ぎ、さらなる発展を目指す。
事業譲受の背景
2024年の初春、後継者不在のため廃業の意向を示した柳醸造の情報は、地域全体に衝撃を与えた。多くの関係者や顧客から惜しむ声が上がり、特にSUZU GROUPは、長年にわたり柳醸造の味噌を使用してきたことでその継承に使命感を抱くようになった。彼らの熟練の技術や味わいを失いたくないと考え、事業譲受の提案を行い、多くの協議を経て契約の運びとなった。
柳醸造とSUZU GROUPの関係
柳醸造の特筆すべき技術は、玄米そのものを麹として利用し味噌を製造するもので、これにより独自の味わいが生まれている。この技術は柳醸造が初めて成功させたもので、長岡市吉崎(旧三島地区)に位置する同社は、明治時代から醸造業を営んできた。味噌だけでなく、醤油や漬物ともいった多様な発酵製品を案内するヤキュウ頼みの商品も製造しており、その技法は複数の賞を受賞するほど高く評価されている。
SUZU GROUPは、地域の素材を大切にし、その良さを引き出すものづくりに強い関心を持ち、現在も全店舗で柳醸造の中でも特に玄米味噌を使用している。最近では共同開発としてレトルトカレーも手掛けることで、互いの歴史や特性を融合させ、新潟の食文化をより発信していく意向を持っている。
柳醸造の歴史
柳醸造の故事は明治20年に始まる。当初は米穀商からスタートし、糀作りを通じて醸造業に進出。その後、味噌・醤油の製造を手掛けるなかで、地域内の協同組合と連携しながら発展を遂げてきた。そんな彼らの丁寧な仕事は、多くの人に愛される理由の一つであり、今や日本全国からの注文が寄せられるまでになっている。
今後の展望
発酵の魅力を広げる
発酵食品は日本の食文化になくてはならないものであり、柳醸造はその魅力をさらに多くの人に届けたいと考えている。一方で、食の多様化が進む現代では、味噌や醤油の消費量は減少傾向にある。この動向を受け、彼らは発酵食品の文化をより広い視点で捉え、国内外の人々に根付かせていこうと考えている。
まちづくり
柳醸造がある長岡市三島地区は、古くから発酵や醸造が盛んなエリア。しかし、現在も商業的な発展が求められるなかで、体験型の観光地としても発展させていく計画がある。これにより、地域全体の価値向上を目指す。
海外への展開
最近では日本食への関心が高まり、発酵食品も注目を浴びている。新潟の特色を生かした商品を海を超えて発信するためのブランディング戦略が求められている。
昔ながらのものづくり
柳醸造は、その伝統の技術を大切にし、持続可能で安心安全な製品づくりに努めていく。自然環境を考慮した発酵・醸造にこだわり、昔ながらの手法に立ち返ることの重要性を語る。
結語
SUZU GROUPが事業を譲り受けたことで、味噌蔵の存続のみならず、日本の伝統文化を未来に残すための新たな道が切り開かれた。味噌の可能性を広げ、地域を愛し、誇りに思える新たな発信を期待したい。これからも長岡市の地元食文化に根ざした活動が続いていくことが、地域の希望ともなり得るに違いない。