アト秒精度の量子測定
2025-11-19 14:14:24

数アト秒精度の新技術で波動関数の干渉を実現

数アト秒精度の新技術で量子干渉を実現



早稲田大学理工学術院の新倉弘倫教授とカナダ国立研究機構・オタワ大学のDavid Villeneuve博士らの研究チームが、数アト秒精度で波動関数の干渉を測定する新たな手法を開発しました。この技術により、ヘリウム原子の電子波動関数の174アト秒周期での振動が正確に測定されました。本研究結果は2025年11月10日に『Physical Review A』に掲載される予定です。

新しい測定法の誕生


この新技術は、極端紫外領域に存在する二つのアト秒レーザーパルスを使用することで実現されました。これを用いることで、電子の量子的な性質を数アト秒という高精度で観測できるようになり、ゼプト秒領域の現象についても期待が寄せられています。特に、新材料における量子状態の検出や制御が可能になるため、今後の研究や技術開発において重要な役割を果たすでしょう。

これまでの限界を乗り越えて


従来、波動関数の干渉を測定するためには、時間差の高い精度が求められ、複雑なシステムを必要としました。しかし、今回の研究では、二つの異なる波長のレーザーパルスを活用し、同じ光学路でアト秒パルスを生成する新しいアプローチが採用されました。この方法により、測定の安定性が向上し、再現性の高い結果が得られるようになりました。

測定の手順と結果


実際の測定では、最初に2つのアト秒レーザーパルスの時間差をわずかにずらすことで、それぞれから生成された波動関数の重なり合いによる変化を観察しました。具体的には、ヘリウム原子の4pリドベルグ準位における波動関数が174アト秒周期で振動する様子を確認しました。この測定により、数アト秒からゼプト秒の間に新たな物理現象を発見するための布石がとられました。

今後の展望


この研究は、今後の量子物理学における応用に多大な影響を与えることが期待されています。アト秒レーザーパルスは、従来の技術に比べてはるかにコンパクトかつ高効率な光源として利用される可能性があります。また、この技術が広がることで、さまざまな物質の新たな量子特性の発見や、化学反応における電子の挙動の詳細な解析が進むでしょう。

研究者の意義ある発見


新倉教授は、この技術が持つ可能性について大きな期待を寄せています。彼は、この新たな波動関数の干渉測定法が、量子コンピュータや新材料の探索において新たな道を切り開くとともに、未来の科学技術の発展に重要な役割を果たすと確信しています。

まとめ


数アト秒精度での波動関数の干渉測定の実現は、科学技術の新たな可能性を拓くものであり、今後の量子研究や技術の進展に寄与することが期待されています。新倉教授とVilleneuve博士の研究グループが切り拓いたこの道に、さらなる注目が集まることでしょう。


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