GMOインターネットとNTTによる次世代AIインフラ技術実証
GMOインターネット株式会社は、NTT東日本、NTT西日本、QTnetと共同で次世代分散型AIインフラに関する技術実証を開始すると発表しました。2025年10月2日から、この実証プロジェクトが始まる予定で、AI開発基盤における新たな可能性を模索します。
背景と目的
近年、生成AI技術の進展とともに、大規模な言語モデル(LLM)の必要性が高まっています。ハードウェア面では、GPUや大容量ストレージの導入が不可欠ですが、従来の物理的配置の制約があるため、柔軟な開発環境の構築が難しいとされています。この技術実証では、NTTが提供するIOWN APN(All-Photonics Network)を利用して、物理的距離を超えたデータセンター間の接続を目指します。
この取り組みは、AIインフラの分散化を進めるもので、特に地域を超えたデータのやり取りを迅速かつ効率的に実現することを目指しています。具体的には、福岡のデータセンターに設置されたGMO GPUクラウドのGPUと、東京のストレージをIOWN APNで接続するという新しい試みです。
事前検証の成果
2025年7月、事前検証として福岡と東京間の約1,000kmを想定した環境で、GMO GPUクラウドの性能テストが行われました。このテストでは、遅延を15ミリ秒などの条件で調整し、画像認識や言語学習のタスクを実行。結果として、タスク完了時間の変化を確認しました。遅延条件が増えると、性能低下は12%程度と測定され、実用性の見通しが立ちました。
今後の実証内容
2025年11月から12月にかけて、本番環境での実証も予定されています。実回線を利用し、実用性評価を行うことで、商用実装に向けた基盤整備が行われます。具体的なタスクとしては、画像認識と文章生成をテーマにした実験を行い、異なる接続方法間でのパフォーマンスの比較を行います。
各社の役割
GMOインターネットはGPUおよびストレージの提供を行い、NTT東日本とNTT西日本はIOWN APNの技術と実証回線を提供します。QTnetは福岡のデータセンターをサポートし、各社の専門性を活かした連携が期待されます。
将来の展望
この技術実証が成功すると、新たなAI基盤が実現され、ますます情報通信技術が進化することが予想されます。IOWN APNを活用することで、最新の設備にアクセスしやすくなり、より大規模なAIプロジェクトが推進可能になります。また、将来的には日本全体に新しい情報通信基盤が整備され、どこからでもAIリソースへアクセスできる分散型社会の実現を目指します。
このプロジェクトの進展は、AIインフラに革命をもたらす可能性があり、将来的には日本国内だけでなく、国際的なAIの活用にも寄与することでしょう。