金利上昇で変わる預貯金の行動
最近の調査によると、日本全国で全国民の18歳以上を対象に実施された「金利上昇局面における金融サービスの利用動向調査」において、驚くべき結果が明らかになりました。なんと、全体の4人に1人以上が過去1年間に「100万円以上の預貯金の預け替え」を実施したのです。これは、利率が上昇する局面において、預金者の意識が変化していることを示しています。
調査の背景
調査を行ったのは、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社と株式会社NTTデータ経営研究所で、昨年に続いて行われたもので、金融サービスの利用動向を明らかにすることを目的としていました。2024年3月には「マイナス金利政策」の解除が決定され、その後金利の引き上げが続いています。この状況は、消費者に新たな金利環境を提供することへと成長しています。
預貯金の預け替えが急増
調査結果として、なんと全体78.5%(830人)は、予想通り預け替え行為を行わなかったわけですが、その中でも「預け替えを行った」と答えた229人のうち42.5%が「他行の方が預金金利が高いから」という理由でした。この結果は、預金者が金利に敏感であることを示しており、今後の金融機関の戦略に大きく影響を与える事実です。
金利重視の傾向
昨年の調査では、預貯金の預け替え時に重視するポイントは「利用手数料」や「近さ」が多かったのですが、今回は「預金金利の高さ」が最も多く、さらにATM手数料や振込手数料の安さも加わり、金利が重要視されるように変わりました。特に、金利を重視する傾向は年代を問わず広がっており、40代で39.1%、70代以上でも34.2%と非常に高い数値を示しています。
インターネット専業銀行の影響
また、インターネット専業銀行の口座を保有する人の預け替え実施率は、非保有者と比較して約9~10ポイント高く、これは高金利を打ち出すインターネット専業銀行の影響が広まっていることを意味しています。このような中で、地域金融機関や大手行も金利戦争の進展に直面しています。
金融機関に求められる付加価値
調査結果によると、消費者の金利感応度が顕著に復活していることは、金融機関にとって重要な警告となります。金利競争はもちろん重要ですが、それ以外にもデジタルサービスの強化など、長期的な顧客関係を築くための手段が求められています。今後は、金融機関は金利に依存するのではなく、顧客のロイヤリティを高めるための新たな提案を行う必要があります。
結論
この調査は、長期間続いた低金利時代から金利上昇局面に移行する中で、預金者がどのように動いているのかを示しています。金融機関が戦略を見直し、顧客にとって価値あるサービスを提供していくことが、今後の重要な課題となるでしょう。金利の上昇は、ただの瞬間的なトレンド以上のものであり、預金者の意識を根本から変える要因となっているのです。