中高年層のキャリア支援-企業と社員の意識のギャップを解消するためには
人生100年時代を迎えた現在、中高年層(40歳~65歳)のキャリアの持続可能性が特に重要視されています。ニューホライズンコレクティブ合同会社が実施した調査によれば、企業は中高年支援に取り組んでいるものの、中高年社員の満足度は半数以下という興味深い結果が得られました。ここでは、この支援に対する両者のギャップを探り、企業側がどのような施策を展開しているのかを詳しく見ていきます。
調査の背景と目的
少子高齢化や働き方の変化に伴い、企業は中高年層の力をいかに引き出し、活躍を支援するかが重要な課題となっています。特に中高年層に対しては、明確な育成指針が欠けており、支援が曖昧になりがちです。そこで、調査を通じて中高年層と人事担当者・経営者の認識を比較し、支援の実態を明らかにすることを目的としました。
調査の主要な結果
調査によると、40歳以上の約6割が「社外交流が減ってきている」と実感しており、社外交流を経験した多くが「刺激を受けた」と感じています。また、企業の9割以上が中高年キャリア支援に取り組んでいると回答していますが、実際に満足している中高年社員は半数未満というジレンマが存在しています。
さらに、企業の約7割がキャリアサポートを若手支援に優先しているという結果も示されました。
キャリア支援の現状
調査で明らかになったのは、企業と中高年社員の間において、キャリア支援に対する満足度が異なることです。多くの経営者は満足を感じているものの、中高年の声を反映できていない現状が存在します。
多くの中高年が「キャリアについて相談できる機会が少ない」と感じており、社外との交流や異動の機会が限られている点に不満を表明しています。これらの問題は、制度があるか否かということだけでなく、個人がどのようにその機会を得られるかが重要です。
中高年のキャリアビジョン
興味深いことに、人事担当者が想定する中高年社員のキャリアビジョンと、中高年自身のビジョンには共通点がありました。両者とも「プレーヤーとして活躍し続ける」ことを重視しています。ただし、それに向けた道筋や支援については意識にズレが見られました。
人事担当者は社内でのコミュニケーションや若手への権限移譲を重視する一方で、中高年社員は自分自身のスキルアップや社外とのつながりを求めています。
企業の支援に対する意識
調査結果から、企業の約7割が中高年支援よりも若手育成を優先していることがわかりました。これは「若手の方が意識が高い」といった認識から来るもので、中高年支援が後手に回る理由としても説明されています。