日本における新薬のイノベーションとその評価の重要性
2025年12月25日、一般社団法人日本パブリックアフェアーズ協会が新たな政策提言書を発表しました。それは、現行の薬価算定方式に対する問題提起と改善案をまとめたものです。日本の医療市場において「原価計算方式」に依存していることが、イノベーションの発展を妨げているという厳しい現実を浮き彫りにしています。
背景と問題点
新薬の価格を算定する際、日本では「原価計算方式」が導入されています。この方式は、比較薬が存在しない場合に適用され、薬の価格を開発コストに基づいて決定します。しかし最近では、開示率が低いために、本来評価されるべきイノベーションが無視され、加算がゼロにされる事例が増えています。これは、薬剤の製造に関わる様々な企業や研究機関が開示するデータが不十分なためです。さらに、現在の創薬はオープンイノベーションの時代に突入しており、国内の企業や大学だけでなく、海外からの研究開発が増加しています。このような状況では、製薬企業が実際のコストを開示するのが難しくなり、結果的に「日本はイノベーションを評価しない国」との誤ったメッセージを発信しかねません。
この問題の影響により、日本が世界の医療市場での競争力を失うリスクが高まっています。特に、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスといった現象が進行することで、国民の健康に直接影響を及ぼす事態も懸念されます。
提言の内容
提言書では、原価計算方式に関して以下の4つの改善点を提案しています。これらは、抜本的改革前の暫定的な改善策として位置づけられ、新薬の価値を適正に評価することを目的としています。
1.
加算係数の見直し - 原価の開示率が50%未満の場合に適用される加算係数を、2022年までの「0.2」に戻すべきという提言です。これにより、イノベーションが適切に評価される環境を作り出すことが期待されています。
2.
研究費の計上基準の拡大 - 海外で発生した研究費を算入することを認め、グローバルな創薬活動を評価する体制を整えます。これは、日本のみでの研究活動ではなく、全世界における創薬の成果を反映させるために重要です。
3.
労務費単価の見直し - 現行で用いられる3,634円という値を、創薬研究に亘る専門性を反映させた実態に即した単価に修正する必要があります。
4.
販管費率の見直し - 開示率に関わらず、実際にかかった販管費用を適正に計上できるようにルールを改めるべきです。
これらの提言を迅速に実現することで、日本の医薬品市場はより健全で競争力のあるものへと転換すると期待されます。
未来に向けて
日本パブリックアフェアーズ協会は、この提言に基づき、幅広い議論を促進し、医療政策の改善に向けた活動を継続する意向です。新薬のイノベーションを適切に峻別し、国民にとって価値のある医薬品が提供されるよう、政策立案者や業界関係者が一体となって取り組む必要があります。
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