新薬テプロツムマブが日本での甲状腺眼症治療に光をもたらす

新薬テプロツムマブが日本での甲状腺眼症治療に光をもたらす



Horizon Therapeutics plcが、日本国内で活動性甲状腺眼症(TED)患者を対象にした新たな第三相臨床試験「OPTIC-J」を開始しました。本試験では、テプロツムマブという新しい治療薬の有効性、安全性、忍容性を評価します。

OPTIC-J試験の概要


本試験は、無作為化された二重盲検プラセボ対照の並行群間比較試験で、中等症から重度の活動性TEDを有する約50名の日本人患者が対象となります。患者は1対1の比率で無作為化され、テプロツムマブまたはプラセボを投与されます。投与方法は、初回が10 mg/kg、残り7回が20 mg/kgで、三週間に一度の点滴が行われます。このスケジュールは、米国における承認に基づいていますが、日本での承認後に変更される可能性もあります。

有効性の評価


主な評価指標は、治療開始から24週後の眼球突出の改善状況です。具体的には、治療を受けた眼の突出がベースラインから少なくとも2 mm減少し、対側の眼に悪化が見られない患者の割合を測定します。その他にも、全奏効率や眼球突出の変化、複視の改善率なども調査されます。もし24週後に奏功が見られなかった場合でも、48週目までのフォローアップ期間中、追加のテプロツムマブ治療を受けることが可能です。

専門家の見解


治験の共同責任医師である久留米大学医療センター名誉教授の廣松雄治氏は、甲状腺眼症が患者の日常生活に与える影響の大きさを指摘しています。特に眼球突出と複視の症状は、生活の質を著しく損なうため、より効果的な治療法が求められています。従来のステロイド療法では副作用が出やすく、十分な改善が得られないことも多く、テプロツムマブがこの問題に対抗できる可能性があります。

Horizonのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるエリザベス・トンプソン医学博士も、テプロツムマブが日本の患者にどのように役立つかに注目しており、研究者や規制当局との協力の下で、患者に新たな治療の選択肢を提供することを目指しています。

TED(甲状腺眼症)に関する知識


TEDは希少な自己免疫性疾患であり、進行性で失明リスクがあることから、患者にとっては深刻な疾患です。多くの場合、バセドウ病と関連して発症しますが、青あざや腫れ、眼痛などの症状が出ることがあります。治療が行われずに放置された場合、長期的な視力の損失や強い痛みを引き起こす可能性もあるため、早期の診断と治療が必須です。

テプロツムマブについて


テプロツムマブは、IGF-1Rを標的とした完全ヒト型モノクローナル抗体であり、患者に対して三週間に一度、計8回の点滴投与が行われます。この薬剤は米国での先行治験において、効果的な結果が得られており、FDAから優先審査や希少疾病用医薬品に指定されています。過去の試験では、筋痙攣や吐き気などが副作用として報告されていますが、それを上回る効果が期待されています。

まとめ


Horizon Therapeuticsによる新たな治験が、甲状腺眼症の治療に新しい光をもたらす期待が高まっています。日本の患者にとって、テプロツムマブが有効な治療法となることを望むばかりです。特に日常生活の質を向上させるために、各種の治療選択肢がますます重要な役割を果たします。

会社情報

会社名
Horizon Therapeutics PLC
住所
1 Horizon Way Deerfield, IL 60015
電話番号

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