創薬支援の新展開
2025-08-28 10:37:55

大日本印刷と筑波大学が創薬開発を加速する共同研究をスタート

大日本印刷と筑波大学の共同研究が始まる



大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、国立大学法人筑波大学と共同で、薬剤開発の実験環境を進化させる「生体模倣システム(Microphysiological System:MPS)」の研究に取り組むことを発表しました。共同研究の期間は2025年7月24日から2026年5月31日までとなります。

MPSとは何か?



MPSは、ヒトの臓器を模倣した細胞を用いて、生体内の環境を再現する技術です。このシステムにより、薬の効果や安全性の評価をより正確に行うことが可能になります。DNPが開発した「ミニ腸」は、実際のヒトの腸に非常に似た特性を持ち、筑波大学のMPS技術と組み合わせることで、より人間の体に近い評価が可能になると期待されています。

共同研究の背景と目的



新薬開発において、従来は動物実験が行われていましたが、動物とヒトでは細胞の特性や反応に違いがあり、動物実験だけでは効果や副作用が確かめきれないことも多いのが現実です。また、動物福祉の観点からも、動物実験の代替技術の需要が高まっています。そこで、DNPと筑波大学は、新薬開発においてヒト由来の細胞、特にiPS細胞やES細胞から得られるさまざまな臓器細胞を用いた研究に取り組んでいます。

共同研究の内容



今回の研究では、DNPの「ミニ腸」を使用したMPSを構築し、その有用性と信頼性を検証します。特に「ミニ腸」の腸細胞を利用したMPSでは、ヒトの小腸に非常に近い特性を持つため、新しい評価手法が期待されています。筑波大学の伊藤弓弦教授の知見を生かし、より多様な細胞を用いることにより、生体により近い環境を再現し、新薬の影響を幅広く予測できるMPSの実現を目指します。また、研究成果は医薬品や健康食品の効果成分の探索にも活用される予定です。

今後の展開



DNPは、筑波大学との共同研究を通じて新薬の開発を強力に支援するため、MPSの研究を進めていきます。また、DNPの「P&I」(印刷と情報)の強みを活かした新たなメディカルヘルスケア分野での事業開発にも力を入れていく方針です。

DNPの再生医療・創薬支援の取り組み



DNPは長年にわたり、細胞培養や再生医療の研究開発に取り組んできました。2005年には東京医科歯科大学に再生医療に関する寄付講座を開設し、2017年には世界初となるミニ腸の試験管内生成に成功しています。さらに、2024年には韓国のNEXEL Co., Ltd.との提携により、iPS細胞由来の心筋細胞培養の技術を進めます。これらの成果を活かして、今後のメディカルヘルスケア分野に貢献していくことを目指しています。

DNPと筑波大学の連携により、創薬に関する未来の可能性が大きく広がることが期待されます。研究の進展が待ち遠しいところです。


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会社情報

会社名
大日本印刷株式会社
住所
東京都新宿区市谷加賀町1‐1‐1
電話番号

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