早期乳がん患者の治療を早める新たな取り組み
乳がん再発リスクを評価するための多遺伝子検査「マンマプリント(MammaPrint®)」およびその分子サブタイプ評価を行う「ブループリント(BluePrint®)」の検査が、新たに所要日数を短縮した受託サービスを開始しました。これにより、乳がん患者はより迅速に必要な情報を得られるようになり、治療選択に必要な時間を確保できることが期待されています。
検査所要日数の改善
マンマプリントとブループリントの検査は、腫瘍組織を米国カリフォルニアのAgendia社に送り、解析が行われることになります。これまでは、検体が到着してから結果が得られるまでに約15〜20営業日を要していました。しかし、ロジスティクスの改善により、この期間が7〜15営業日に短縮されました。腫瘍組織に問題がない場合、特に早期に結果を受け取ることができるため、治療の決定を早めることができます。
この受託サービスの改善は、乳がん治療において特に重要です。治療選択に悩む患者たちにとって、早期の評価は治療法を選ぶための重要な要素となります。また、術前の薬物療法の決定にも役立つ情報を提供することで、より良い医療を受けるための手助けとなるでしょう。
検査項目・価格の改定
加えて、マンマプリント単品の検査サービスは終了し、今後はマンマプリントとブループリントのセットでのみ提供されることになりました。これによって、従来の価格よりも低価格でのサービス提供が実現されるため、より多くの患者が検査を受けやすくなると思われます。この改定は、2022年1月1日以降の依頼分に適用されます。
欧米では、マンマプリントの80%以上がブループリントと同時にオーダーされており、国内でもそのニーズは高まっています。今後のさらなる需要増加が見込まれ、両検査を合わせた150遺伝子の解析が一層注目されることでしょう。
マンマプリント(+ブループリント)とは
マンマプリントは、70遺伝子による乳がん再発リスクの検査であり、FDAの承認を受けた唯一の再発リスク検査です。検査の結果は、再発リスクの評価や化学療法の効果、内分泌療法のベネフィットを示す情報を提供します。
- - 再発リスク判定: マンマプリントインデックス(MPI)を算出し、リスクを「ハイリスク」「ローリスク」に分類します。
- - 化学療法の適応判定: 投与のベネフィットを予測します。
- - 内分泌療法の適応判定: 投与期間の決定をサポートします。
ブループリントは、80遺伝子による腫瘍の分子サブタイピング検査で、腫瘍の基本的な生物学的特性を評価します。これにより、医師は術前や術後の治療選択について、より多くの情報を基に意思決定を行うことが可能になります。
結論
このように、マンマプリントとブループリントを併用することで、乳がん患者は実際に生じるリスクをより的確に把握でき、治療の選択においても大きな利点があります。新しい検査所要日数の短縮により、より早く情報を得られるようになり、患者たちが安心して治療に臨むことができる環境が整いつつあります。医師と患者が一体となって最良の治療法を選択できる時代が訪れました。これからも医療の現場における進展に期待が寄せられます。