SNS時代の若者が直面するギャップの現実
近年、海外渡航を考える若者たちの間で、SNSによる情報収集が一般的になっています。しかし、期待と現実のギャップが大きく、特にワーキングホリデーを志す20代にとってはさまざまな困難が待っています。そこで、日本ワーキング・ホリデー協会(JAWHM)は、若者が感じるその実態について調査を行いました。
情報収集の現状
調査によると、約79%の20代が海外渡航に関する情報をYouTubeやSNSを通じて得ていることが分かりました。ただし、情報の信頼性には大きな分かれがあり、「信用している」と答えた層は51%に対し、「あまり信用していない」との回答も49%にのぼります。このことから、若者たちが情報の正確さに迷っていることが垣間見えます。
増加するギャップ
調査を通じて浮き彫りになったのは、次の3つのギャップです。これらは特にワーキングホリデーや留学を経験した人々の声をもとにしたものです。
1. 物価・家賃ギャップ
SNS上で流れる「素敵な部屋」「人気カフェ」を見て、海外生活を甘く見ている若者が増えています。実際の生活では、家賃が想定よりも1.5〜2倍高いケースが多く、特にオーストラリアやカナダでは物価が急上昇しています。初期費用を勘違いし、落ち込む若者も。理想と現実のギャップに苦しむ声が多く聞かれます。
2. 英語力ギャップ
「海外に行けば自然に英語が話せるようになる」という思い込みも多いですが、実際には最初の数ヶ月は非常に苦労します。多くの人が、英語の壁に直面し、バイト先でのコミュニケーションが難しいと感じています。日本人コミュニティに依存しすぎると上達が滞る問題も。
3. 仕事・収入ギャップ
SNSでよく見かける「稼げるバイト」という情報は、実際とは異なることが多いです。地域差や経験差によって、希望の仕事に就くまで時間がかかるケースもあります。特に、SNSで見かける求人が現実では得られないというケースが急増しています。収入が安定しない最初の数ヶ月に直面し、失望する若者たちも多いです。
なぜギャップを感じるのか?
若者たちがSNSでギャップを感じる理由はさまざまです。ポジティブな投稿が多く、実態が見えにくいこと。ネガティブな情報があまりシェアされないため、リスク情報を見つけるのが難しいこと。また、重要な前提が省略されがちで、準備が不足となることも挙げられます。短尺動画に依存しがちなため、詳細を把握しないまま渡航を決定する傾向も見受けられます。
問題解決へのアプローチ
ワーキングホリデー協会では、情報不足からくるギャップを減らすため、カウンセリングやセミナーを提供し、正確な情報を伝えています。制度や費用、リスクを正しく理解することで、より良い海外体験が実現できると信じています。また、ワーキングホリデー制度を通じて、自国で学んだことを活かし、さらに成長する機会が与えられることも重要です。
日本におけるワーキングホリデー制度は1980年から始まり、今年で45周年を迎える中、さらなる普及と地位向上を目指して活動しています。多くの若者がこの制度を利用し、自身の可能性を広げられるよう、引き続きサポートを行って参ります。