使用済紙おむつのマテリアルリサイクルでCO2排出削減に向けた新たな試み
使用済紙おむつの処理は、年々増加する排出量が社会問題となっている中での新たな取り組みが注目されています。2025年3月に発表される研究から、トータルケア・システム株式会社をはじめとする六つの企業が共同で行った使用済紙おむつのマテリアルリサイクルに関する環境評価が明らかとなりました。
この連携6社には、住友重機械エンバイロメント、大王製紙、TOPPAN、日本触媒、リブドゥコーポレーションが参加しており、さらには公立大学法人北九州市立大学と協力しています。これにより、使用済みおむつをどのようにリサイクルし、その際にどれだけのCO2排出が削減されるかを評価したのです。
使用済紙おむつ再利用の重要性
2020年3月、環境省が発表した『使用済み紙おむつの再生利用等に関するガイドライン』を契機に、紙おむつの再生利用の取り組みが進んでいます。また、2024年8月に閣議決定された『第5次循環型社会形成推進基本計画』では、2030年までに再生利用を実施または検討している自治体を150に増やすという目標が設定されました。これらの取り組みは、持続可能な社会を構築するためのキーとなります。
リサイクルプロセスとその効果
トータルケア・システムは2005年、福岡県大牟田エコタウンに紙おむつ専門のリサイクルプラント「ラブフォレスト大牟田」を設立し、リサイクルを続けてきました。その中で、使用済みおむつから再生パルプ、プラスチックフィルム、高吸水性ポリマー(SAP)の3つの主要な部材をリサイクルする新たなシステムを構築しています。
今回、焼却施設でおむつを焼却処理した場合と、3つの部材全てをマテリアルリサイクルした場合のCO2排出削減効果を比較しました。具体的には、使用済み紙おむつ5,000トン(乾燥重量では1,500トン)を処理した際、マテリアルリサイクルでは2,813トンのCO2が削減されることがわかりました。これは約1,000世帯分の年間CO2排出量に相当する数値です。
連携企業の役割
各企業はそれぞれの強みを活かし、リサイクルの手法を確立しています。
- - トータルケア・システム: 独自のリサイクルプラントでの実績。
- - 住友重機械エンバイロメント: 水処理技術を活用し、環境問題の解決に取り組む。
- - 大王製紙: 紙おむつの製造プロセスにおけるリサイクルを行い、環境に配慮した製品開発を進める。
- - TOPPAN: 持続可能な社会に向けて様々な環境配慮型製品を提供。
- - 日本触媒: 高吸水性ポリマーなどの技術でリサイクルに貢献。
- - リブドゥコーポレーション: 介護用おむつの分野で事業を拡大。
さらなる展望
この取り組みは、環境意識の向上や地域社会でのリサイクルの促進にもつながることが期待されています。使用済みおむつのリサイクルは、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップです。これからも、各社の連携と技術革新を通じて、さらなる環境改善が期待されます。
今後の研究や実施計画にも注目し、私たちの生活における環境問題への関心を高めていく必要があります。使用済み紙おむつのリサイクルが進むことで、よりサステナブルな日本へと近づくことを願っています。