広島県と鳥取県が協力、初の都道府県をまたぐ防災情報システムを導入

2025年にスタートする新しい防災情報システム

広島県と鳥取県が共同で導入する「総合防災情報システム」によって、地域の防災力が新たに強化されます。このシステムは、2025年4月に運用を開始し、自然災害時に迅速な情報収集を可能にします。EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社が支援し、重要情報の抽出や地図上での可視化などの機能を搭載しています。

地方自治体の防災対策

近年、日本各地で発生する災害に対して、国や地方自治体は防災力の向上に向けた取り組みを進めています。広島県は平成12年から防災情報システムを利用してきましたが、最近の自然災害の増加を受け、より迅速かつ正確な対応が求められるようになりました。そこで、鳥取県との広域連携による新システムの導入が考案されたのです。

防災の現状

これまで、中国地方の各県はそれぞれ独自の防災システムを構築してきましたが、この方法ではコスト面や情報連携に課題がありました。そこで、地方知事会の動きにより、広域での共同運用が検討され始めました。

EYの支援により実現

EY Japanの専門家たちは、令和3年からこのプロジェクトに関与し、自治体の防災情報の収集や集約に関する課題を解決するための支援を行ってきました。特に、情報収集の標準化や重要情報の一元管理に向けた方針策定に注力しており、自治体の職員にも新たな視点を提供しました。

導入された機能とは

新システムには多くの先進機能が搭載されています。以下がその主な特徴です：

- 情報の一元化：気象や被害状況、避難情報をリアルタイムで集約し、状況を把握しやすくします。
- 広域連携の促進：物資の輸送や職員の派遣を迅速に行える基盤として機能します。
- デジタル化の推進：情報収集をデジタル化することで、即時性と正確性が向上します。
- 視覚的な情報把握：GISキャンバスを取り入れたことで、被害状況を地図上で直感的に表示できるようになりました。特に山林火災においては、迅速な対応が求められています。

実稼働後の反響

システムが運用を開始した後、既に山林火災や風水害に対する訓練で活用され、多くの評価を得ています。特に、災害対策本部で実施されたシミュレーション訓練においても、導入した機能が効果を発揮しました。

EYSCのリスク・コンサルティングパートナーである森勇雄氏は、システムが利用されている現場から「使いやすくなった」との反響を受けて、大変嬉しく思っているとコメントしています。彼は、このシステムが地域の防災力を向上させると信じており、他の自治体にも広がることを願っています。