企業の成長支援をする学習型AI「SOINN」の革新と今後の展開

学習型AI「SOINN」の革新と今後の展開

最近、SOINN株式会社が株式会社産業革新機構や西武しんきんキャピタル株式会社からの資金調達を発表しました。この資金により、SOINNの開発及び普及が一層加速することが期待されています。

SOINNとは、東京工業大学の長谷川修准教授により開発された学習型汎用人工知能です。このAIは「勝手に覚えて成長する」能力を持ち、さまざまなデータを扱うことが可能です。その特性から、従来の人工知能とは一線を画すものとされています。

SOINNの特長と利点

SOINNの大きな特徴は、自らデータの構造や因果関係を発見し、自己設計で成長できる点にあります。これに対して、伝統的なAIは人間のエキスパートによる設計やモデル化が必要であり、そのための知識を持たない問題には対応できません。SOINNが持つ自律的な成長システムは、さまざまな分野での応用を可能にする要素です。

このAIは自力で成長し続け、その過程でデータの自動更新が可能です。また、画像やテキスト、売上データ、天候データなど、あらゆる種類のデータを受け入れ、自動でノイズを除去できます。さらに、計算が軽量であるため、スマートフォンでも学習することができるのです。

適用可能な分野

利用シーンは多岐にわたります。流通や小売業においては購買動向の解析、金融業界では与信分析や不正取引の検知、製造業ではベテランの知見を学ぶシステムや機器の制御、さらには官公庁において災害予知やエネルギー需給予測に活用されています。

SOINNの使い勝手

このAIは、各種プログラミング言語やハードウェアに依存しないため、C、C++、Javaなどといった効率的なコーディングが可能です。それに加え、スマートフォンやパソコン、さらにはロボットや家電など、あらゆるデバイスに対応しています。また、ネットとの相性も非常に良いため、予測や防災医療、セキュリティ、マーケティングなど、多彩な分野での利用が見込まれています。

未来へのビジョン

SOINN株式会社は、今後「誰もが使えるAI」を世界に広めるべくさらなる開発体制の強化を図っています。具体的には、2つの柱に基づいた事業展開を目指しています。一つはコンシューマ向けであり、個人のスマートフォンに「あなた専用SOINN」を提供し、家庭内のIoT機器や車両の制御を行なうことを目指しています。

もう一つはビジネス向けで、「お客様専用SOINN」を企業のパソコンにインストールすることで、中小企業や自治体などに向けて、手軽で実用的なAIをクラウド上に展開することです。