自転車の安全利用促進セミナーが山形で開催
2023年、山形県では自転車の安全利用に関する重要なイベントが開催されました。これは、山形県教育委員会が主催した『令和7年度学校安全教室推進事業「子どものいのちを守る」学校安全指導者研修会』であり、日本の自転車事故が増加する中、特に通学時の自転車利用に焦点が当てられました。
セミナーには、山形県内の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教職員約50名が参加し、自転車の利用方法や安全性についての理解を深める貴重な機会となりました。特に中学生や高校生は自転車通学が多く、過去には多くの事故が発生していたため、その対策が急務となっています。
講師の遠藤まさ子氏は、自転車の安全利用促進委員会のメンバーであり、自転車ジャーナリストとして活動しています。彼女は、近年の自転車事故のデータに触れながら、特に中学生の事故件数が全国でワースト11位に達していることを説明し、その背景には小学生時代の交通ルール教育の不足があると指摘しました。
「中学生になると、自転車通学が始まり、運転する距離が長くなるが、ヒヤリハットの経験が少ないため二重のリスクが生じる」と遠藤氏は語ります。これにより、交通ルールを確実に学ぶ必要性が高まり、事故を未然に防ぐ教育の重要性が強調されました。
また、交通違反についても言及され、正しい道路標識の理解が不足しているケースが多いと指摘されました。自転車利用者が青切符の導入を迎えるにあたり、交通ルールの再確認が必要不可欠であると警鐘が鳴らされました。さらに、ハザードマップの作成においては、自転車運転者にとって危険なポイントを考慮すべきであると提案しました。
自転車の選び方やメンテナンスについての指導も行われ、「安全基準を満たしたBAAマークの自転車を選び、日頃の点検を怠らないことが事故を防ぐために大切」と強調。自転車利用における日常的なメンテナンスの重要性が再認識されました。
講演後には、各校の教職員が集まり、「交通ルールの中で知っておけば事故を減らせることは何か」というテーマで活発な意見交換が行われました。自転車の安全性だけでなく、交通ルールの重要性を改めて確認し、教育現場での指導に活かすための新たな知識が得られました。
このセミナーに参加した教職員は、「学校の立地に合わせた事故リスクをもっと周知していく必要がある」と述べ、自転車の安全性とヘルメット着用の重要性を子どもたちに伝えていく意識を持ちました。参加者全体が、自転車利用の安全教育について再評価し、今後の指導に活かしていく意義深い時間となりました。
遠藤まさ子氏のプロフィール
遠藤まさ子は自転車の安全利用促進委員会の一員で、自転車ジャーナリストとしても知られています。自転車業界新聞の記者や専門誌の編集者としての経験を活かし、現在はフリーランスとして活躍。子ども乗せ自転車や電動アシスト自転車についても広く理解を深め、多くのメディアで自転車の利活用や安全指導に関する解説を行っています。
自転車の安全利用促進委員会は、自転車利用者向けにさまざまな情報を発信し、安全な自転車生活を送るための啓発活動を行っています。今後も全国で自転車通学指導セミナーを開催する予定で、教育現場の関心を高めていくことでしょう。