コクヨとTIGEREYEが開発した「OFFICE AGENTIC AI」
コクヨ株式会社と株式会社TIGEREYEが共同で開発した「OFFICE AGENTIC AI」は、オフィス環境を革新し、働く人々の生産性向上を支援するAI技術です。このプロジェクトは、2025年12月時点で共同特許が出願中です。
「OFFICE AGENTIC AI」の特徴
この新しいAIは、オフィス環境における働き方を変えることを目指しています。具体的には、社員の行動パターンやコミュニケーション履歴を分析し、最適な座席配置、会議時間、チーム構成を提案します。これにより、オフィスそのものが思考し、働く人たちの創造性を引き出すことが期待されています。
自律的な判断機能
「OFFICE AGENTIC AI」は、AI同士の対話や評価を通じて、自らが判断し提案を行うことができる点が特長です。人の指示を必要とせず、自律的に行動できるため、よりフレキシブルでダイナミックな働き方を実現します。これにより、AIは実際のオフィス環境や個々のニーズに応じて最適なサポートを提供します。
技術の詳細
「OFFICE AGENTIC AI」は、TIGEREYEのマルチモーダルAIフレームワークを基盤にしており、コクヨが提唱する「自律協働社会」のオフィス理念と結びついています。この技術は、構造化プロトコルを通じてAI同士や人とのやり取りを管理し、コミュニケーションの内容や意図をベクトル化して学習します。こうしたプロセスを通じて、AIは自ら最適な協働方法を見出すことが可能です。
三層構造の導入
さらに、TIGEREYEが提案した『Talk層』『Judge層』『Match層』の三層構造を採用することで、オフィス内のAIはリアルタイムで学習し、人や空間の振る舞いを最適化します。
- - Talk層:ユーザーやAIとの対話生成
- - Judge層:対話内容の評価
- - Match層:最適なエージェントや人材の選定
このように、「OFFICE AGENTIC AI」は既存のAIエージェントの枠を超え、オフィスそのものが思考し、提案する存在へと進化しています。
各社のコメント
コクヨの社長である黒田英邦氏は、「働く空間を単なる“場所”から“行動を変えるエージェント”へと進化させたい」と述べています。一方、TIGEREYEのCEOである上村学氏は、次世代の知的基盤としての“Agentic AI”を強調し、自社の制御技術とコクヨのデザイン思想の融合を歓迎しています。
今後の展望
両社は今後、この技術をもとに「OFFICE OS」や「OFFICE AGENT」を実装し、商業化を進める予定です。具体的には、会議室予約や勤怠管理、情報共有、ウエルビーイング計測などの業務領域において実証実験を開始し、最終的にはAIが社員の行動、感情、目的を理解し、働き方そのものを進化させるプラットフォームを目指しています。
これにより、オフィス環境がより動的で支援的な空間となることでしょう。企業が求める新しい働き方へのアプローチとして、「OFFICE AGENTIC AI」の進化に期待が寄せられています。