株式会社ABEJAは、新晃工業株式会社に対し、AIと大規模言語モデル(LLM)を用いた新しい設計サポートシステム「SINKO AI Design Link」を提供しました。このシステムの導入により、新晃工業ではセントラル空調機の設計業務の効率化を実現することを目指しています。
「SINKO AI Design Link」は、ABEJA Platformと新晃工業が持つ膨大な設計に関するデータを基にして構築されました。このシステムは、単なる情報検索だけでなく、設計の分析や具体的な指導なども行うことが可能です。そのため、設計者は自然言語で質問や情報要求を入力することで、必要な情報を迅速かつ簡単に引き出すことができます。このように、従来の属人的な作業をデジタル化することで、若手設計者の育成や業務の質の向上が期待されています。
ABEJAの経営理念は「ゆたかな世界を実装する」ことであり、これを実現するために、デジタルプラットフォーム事業を通じて顧客企業の基幹業務のプロセス変革に取り組んでいます。同社は2012年の設立以来、様々な業界でのデジタル化を推進し、300社以上の企業に対してABEJA Platformを活用したデジタル変革を実現してきました。
一方、新晃工業は、大型ビルや工場、病院などで使われるセントラル空調機器を製造する総合メーカーであり、顧客からの多様な要求に応じた製品提供が求められています。しかし、カスタム性の高い製品を提供する一方で、設計業務の標準化が難しいという課題を抱えており、そのためにベテラン設計者へのアドバイス依頼が増え、人材育成に関する負担が増加しています。
このような課題に対処するため、ABEJAは新晃工業と連携し、設計業務にかかわる複雑な情報をデータ化し、LLMを用いたチャット形式のユーザーインターフェースを通じて情報を引き出せる新しいシステムを導入しました。このシステムは、設計者が過去の案件情報や不具合の情報を活用しながら、設計の指導や分析ができるようにするものです。
「SINKO AI Design Link」を活用することで、アドバイスが必要だったベテラン設計者の負担が軽減され、若手設計者も高度な業務を行いやすくなります。また、情報の一元管理が進むことで、社内の知識を共有でき、業務精度の向上が図られるでしょう。
今後、ABEJAと新晃工業は、このシステムを駆使して設計業務の工数削減を進めていく意向を示しており、顧客へのサービス品質向上にも努めていくとしています。また、「Human in the Loop」のアプローチを用いて、ユーザーフィードバックを反映しながらシステムの最適化を行っていく予定です。
新晃工業は、既に本システムの導入による設計部署の効率化が期待できると考えており、将来的には他の部門でもこのシステムの適用を検討しています。ABEJAは今後も多様な業種の企業に対して、AIとの協調に基づく革新的な手法で産業の発展を後押しするでしょう。