チューリング、AI向け新たな視覚データ圧縮技術を発表

チューリング、新技術で大規模AIを支える

2023年10月、Turing株式会社（東京都品川区、代表取締役：山本一成）は、新たな視覚データ圧縮技術を開発した。これにより、動画や画像の大規模データを効率的に処理し、AIに最適な形式で高精度に保持することが可能となる。この技術は、現在特許出願中であり、今後の発展に期待が寄せられている。

一般的な背景と課題

最近では、画像やテキストなど複数のデータを同時に扱うマルチモーダル大規模言語モデル（MLLMs）の需要が急増している。それに伴い、大量のデータを効率的に扱う必要性が高まり、多くの関連技術の開発が進められてきた。しかし、従来の画像データ埋め込み技術では、AI向けに情報を適切に受け渡すことが困難であったのである。この課題を解決するため、チューリングは独自の技術を開発するに至った。

技術の概要

チューリングが開発した新技術は、膨大なデータを圧縮するだけでなく、必要な情報を高精度で保持できる独自のアプローチを採用している。その核心は、テキストや画像などの情報をトークンと呼ばれるAIが処理しやすい単位に変換し、それを可変長で扱う仕組みだ。この可変長圧縮法を用いることで、必要な画質や解析精度を維持しつつ、データ容量を大幅に削減することが可能になった。

特に注目すべきは、学習段階において、トークン列の末尾をランダムに削除し、その差異を分析してモデルを最適化する手法「Tail Token Drop」である。このアプローチにより、圧縮率を向上させながら重要な情報を損なわない設計が実現されているのだ。

さらに、本技術ではトークン列から画像の再構成が可能で、従来のJPEGやWebP形式に比べて少ないバイト数で自然な画像を再構築することができるという。これにより、リアルタイム性や通信コストが特に重要となる自動運転やクラウド連携システムへの応用が大いに期待されている。

今後の展望

過去の研究に基づくと、圧縮技術が進化することで、自動運転車載カメラから得られる映像を圧縮する新しい手法が見込まれており、AIモデルが周囲の情報をリアルタイムで判断する能力を向上させると考えられている。特に、自動運転のような分野での技術応用はかなりの進展が期待される。

また、マルチモーダルモデルや世界モデルへの応用も考えられている。本技術により、トークン化した画像や映像はMLLMsに容易に入出力できるため、トークンサイズを調整することで全体の性能を最適化し続けることが可能になるだろう。

チューリングの目標は、日本発の完全自動運転技術を実現し、世界を変えることである。これを実現するために、同社は積極的に仲間を募集しており、定期的にオープンオフィスやテックトーク等のイベントも開催している。さらに、特許出願中の技術に関する詳細な情報は、テックブログにて公開されているため、興味のある方はぜひ訪れてみてほしい。詳しい情報はこちら。