日本科学未来館で開催されたAI技術を活用した新しい常設展示の魅力

日本科学未来館の常設展示「計算機と自然、計算機の自然」

2019年11月14日から東京・お台場の日本科学未来館にて、落合陽一氏の総合監修による常設展示「計算機と自然、計算機の自然」が一般公開されました。この展示では、現在注目されている次世代AI技術、敵対的生成ネットワーク（GAN）を利用したモーフィング映像が紹介されています。

GANとその活用方法

GANとは、機械学習の手法の一つで、コンピュータが大量のデータを学習して新たなデータを生成する技術を指します。今回の展示では、AIQ株式会社と協力し、GANを用いて様々な画像の特徴を変化させながら新しい映像を生成しています。従来の人手によるモーフィングでは写真を一つずつ選び、それらの間を埋める作業が求められますが、GANでは1000枚以上の画像を学習することで、特徴を自動的に判断し、滑らかな変化を実現しました。

このプロセスにより、自然界の要素や人工的な形状がどのように相互浸透し、融合するかが映像として表現されています。葉や蝶など、自然の中で見られる多様な形がモーフィングされ、近未来における「新しい自然」のビジョンが描かれています。

未来のデジタルとアナログの融合

展示のテーマにある「新しい自然」とは、デジタル技術が進化した未来において、自然と人工物の境界が曖昧になり、相互に影響を及ぼし合う状態を示唆しています。今回のモーフィング映像は、AIと人間の創造力の融合により、デジタルとアナログの新たな境地を切り開くものです。このアプローチによって、視聴者は技術の進化そのものを体感することができます。

教師なし学習による新たな可能性

GANの生成プロセスは、教師なし学習に基づいており、正解データを必要としません。この特性により、AIは新しい画像や映像、音を独自に創出することが可能となっています。今回の展示では、そうした技術の進化を体験できる貴重な機会となっており、AIがどのようにして新たな創造性をもたらすのかを考えさせられる内容となっています。