消防団員の負担軽減と実戦能力向上を目指し、岐阜県飛騨市が新たな訓練会を実施!
近年、人口減少や消防団員の高齢化が進む中、消防団の担い手不足が全国的な課題となっています。飛騨市消防団も、この課題に正面から向き合い、団員の負担軽減と実戦能力向上を目指した新たな取り組みを始めています。
従来の消防操法大会は、競技性重視のため、時間や動作の正確性を求め、訓練に多くの時間と労力を費やしていました。そのため、団員は大会へのプレッシャーを感じ、家族との時間や仕事との両立に苦労するケースも少なくありませんでした。
飛騨市消防団では、こうした問題点を解消するため、令和5年度の大会を最後に、消防操法大会を廃止し、より実戦的な訓練に特化した「飛衛(ひまもり)消火訓練会」を新たに開催しました。
火災現場を想定した実践的な訓練内容
今年の6月16日に行われた「飛衛消火訓練会」では、狭あいな住宅密集地で火災が発生し、消防ポンプ車が現場に近寄れないという状況を想定した訓練が行われました。
訓練では、消防ポンプ車を火点から離れた場所に停め、消火活動の障害となる建物をう回しながらホースを延ばし、2階建ての住宅の1階部分と2階部分の火点に放水するという、実際の消火活動に即した内容が展開されました。
参加した団員は、それぞれの判断で活動方法を工夫したり、アクシデントに対応しながら訓練を実施しました。例えば、建物の破壊の可能性を考慮して鳶口を用意したり、状況に応じて水圧を調整するなど、各分団ごとに創意工夫を凝らした訓練が行われました。
訓練後の振り返りを通してスキル向上とモチベーション向上
訓練後には、評価者と団員が車座になって振り返りを行い、良かった点を中心に講評しました。参加者からも工夫した点や反省点などの意見が聞かれ、活発な意見交換が行われました。
この訓練を通して、「実際の現場では、ホース2線では足りないのではないか」「訓練直後に評価を受けることで、次の訓練に活かせる」といった前向きな意見が多数寄せられました。
また、従来の消防操法大会練習に比べて、訓練日数が大幅に減少し、団員と家族の負担軽減にも繋がりました。団員からは、「以前は練習に多くの時間を割いていて、家族との時間や仕事との両立に苦労していた。練習回数が減ったことで、家族との時間を大切にしつつ、安心して訓練に臨めるようになった」といった喜びの声も聞かれました。
飛騨市消防団の改革への取り組み
飛騨市消防団では、2024年1月7日に「NEO(新しい)飛騨市消防団」をキャッチフレーズに、従来の消防団のあり方を見直し、団員およびその家族の負担軽減を図り、新入団員の確保につなげていくことを宣言しました。
具体的には、消防操法大会の廃止、実戦的な訓練の強化、式典行事を減らすなど、様々な改革に取り組んでいます。
飛騨市の魅力
飛騨市は、人口約22,000人の小さな市ですが、周囲を北アルプスなどの山々に囲まれ、豊かな自然に恵まれたまちです。また、ユネスコ無形文化遺産である古川祭・起し太鼓や、ノーベル物理学賞の受賞に寄与した「スーパーカミオカンデ」を始めとする宇宙物理学研究施設など、多彩で個性豊かな地域資源を有しています。
飛騨市消防団の改革は、地域住民の安全を守るための重要な取り組みであり、今後もその活動に注目が集まっています。