冬季の事故に備えた予防講習の重要性
冬の到来が近づくと、楽しい忘年会や新年会などのイベントが待ち受けますが、一方で体調管理が難しくなる時期でもあります。日本赤十字社(以下、日赤)は、こうした季節に伴う事故や病気を未然に防ぐために、全国各地で一般市民向けの講習会を実施しています。これらの講習会では、実際に起こりやすい事故として「窒息」「ヒートショック」「やけど」の三つの症状について詳しく学ぶことができます。
窒息:特に注意が必要な高齢者と乳幼児
冬に多発する窒息事故は、高齢者や乳幼児にとって特に危険です。高齢者は食べ物を誤って飲み込むリスクが高く、特にお餅による事故は毎年多く発生しています。具体的には、餅がのどに詰まることによって声が出なくなり、最終的には意識を失うこともあるのです。日赤では、窒息に対する予防策を講じることの重要性を強調しています。飲み込みやすい姿勢で食べることや、飲み込む際に注意を払うことが推奨されています。万が一の際には、強い咳を促すことや、適切な手当を行うスキルを学ぶことができます。
窒息の予防法
1.
姿勢を工夫:少し前かがみで飲み込むと安全。
2.
食材の選定:詰まりやすい食べ物は避け、大きさや硬さに気をつける。
3.
マナーを守る:食べ物を口に入れたままで話さない。
緊急時の対処法
- - 背中を叩く、腹部を突き上げる方法を学んでおくことが必須です。必要な場合は、119番通報を忘れずに。
ヒートショック:浴室での注意
冬の浴室もまた危険がひそんでいます。「ヒートショック」と呼ばれる状態は、急な温度変化により身体に深刻な影響を及ぼすものです。高齢者は特に、浴槽内での不慮の事故に遭遇する例が多く、毎年多くの命が失われています。入浴時の温度管理や、浴室や脱衣所の暖房について、日赤では具体的な提案をしています。
ヒートショックの予防策
1.
温度管理:入浴前に脱衣所や浴室を暖め、湯温は41度以下に設定。
2.
入浴時間:10分を目安にし、急な立ち上がりを避ける。
緊急時の対処法
- - もし意識がなくなった場合は、顔を水面上に出し、「助けを呼ぶ」といった行動が重要です。
やけど:火の取り扱いに注意
冬には、ストーブやカイロの利用が増えるため、やけどの事故も増加します。火や熱湯に対する注意が必要であり、特に高齢者や小さなお子様には十分な注意が求められます。やけどの痛みを和らげるための適切な応急処置を学ぶことが、将来的な事故を防ぐために不可欠です。
やけどの予防法
1.
安全な使用:ストーブの上にやかんや鍋を置かない、長時間熱を加えない。
2.
適切な衣服:火のつきやすい素材の衣服は避ける。
緊急時の対処法
- - やけどの部分を冷やす、やけどが広範囲の場合は低体温に注意。
知識を身につけて安全な冬を
これらの事故は、特に冬場に多く発生しますが、目を背けず、しっかりとした知識を身につけることが重要です。生活環境を整え、家族や大切な人とのコミュニケーションを大切にすることで、事故を防ぐことができるのです。
日本赤十字社では、講習会を通じて一般市民がこれらの重要な知識を学べることを目指しています。楽しいイベントが控える冬、みんなで事故予防を意識して過ごすことが求められています。