第16回辻静雄食文化賞が決定
2025年8月に開催予定の第16回辻静雄食文化賞の受賞作や受賞者が発表されました。この賞は、食文化の発展に寄与した作品や活動が対象で、特に注目される「台湾菜の文化史」がこの度の受賞作に選ばれました。
受賞作品:『「台湾菜」の文化史-国民料理の創造と変遷』
著者の陳玉箴が執筆し、天神裕子が翻訳を手掛け、岩間一弘の解説が加えられたこの作品では、台湾料理の歴史的変遷が描かれています。日本の統治から始まり、戦後の国民党政府時代、さらに民主化の流れとともに、台湾の食文化がどのように変化してきたのかを徹底的に掘り下げています。
特に、国民料理が持つ「幻想」の概念が重要視され、それがどのように共通の体験として成立しているかが浮き彫りになっています。さらに、台湾現代史への理解も深まる内容となっており、学術的価値も高いと評価されています。
専門技術者賞:前田尚毅
今回の授賞式では、専門技術者賞も併せて発表され、サスエ前田魚店の店主である前田尚毅氏が受賞しました。彼は漁業者との密接な連携によって、質の高い魚を提供し、食文化の拡張に寄与しています。彼の取り組みにより、料理人と漁業者間の関係性が強化され、極めて効果的なサプライチェーンが築かれました。
前田氏の活動は、生産者から消費者に至るまでの食の流通を視覚化し、地域の魚食文化を活性化させるモデルを示す重要な施策と認識されています。このような革新的な取り組みにより、彼の功績が高く評価されました。
辻静雄と賞の意義
辻静雄は、教育者でありフランス料理研究者でもあり、辻調グループの創設者として知られています。彼が生涯を通じて推進した食文化の探求と教育は、今なお多くの人々に受け継がれています。辻静雄食文化賞は、彼の志を受け継ぎ、食の多様性と深い理解を促進することを目的とした賞です。
まとめ
第16回辻静雄食文化賞での受賞作品や受賞者の発表は、食の重要性と文化的役割について再考させる機会となりました。台湾料理の変遷や、地域の魚食文化を支える専門技術者の取り組みは、ぜひ多くの人に知っていただきたい内容です。贈賞式がどのような形で行われるか、引き続き注目していきたいと思います。