遺伝子の時間を可視化
2025-07-04 11:50:22

AIとTocky技術が拓く、遺伝子制御の新たな時間軸

AIで遺伝子の時間を可視化する新技術



研究の背景


遺伝子が「いつ」働くかという時間の要素は、細胞の性質や機能に大きな影響を与えます。これまでは、こうした時間変化を生きた細胞内で詳細に観察することは非常に難しい課題でした。

新たな手法の確立


熊本大学の小野昌弘特任教授の研究チームは、独自の蛍光タイマー技術「Tocky」と、革新的なゲノム編集技術CRISPR、さらには深層学習AIを融合させることで、遺伝子の時間的な活動を高精度で可視化する手法を確立しました。Tockyは、特定の遺伝子が発現した時間情報を光の色の変化で記録でき、この技術により細胞内の遺伝子活性を厳密に追跡できます。

技術の詳細


Tockyは、遺伝子が活性化されてからの時間経過を蛍光による色の変化で示すことができ、これによって細胞の転写履歴を生体内で見える化しています。さらに、CRISPR技術を通じて遺伝子配列に特定の変異を加えたTockyマウスから得たデータをAIが解析し、免疫遺伝子の動作における時間的制御の仕組みを理解することが可能となりました。

研究成果


この研究において、加齢や遺伝子の配列変化が免疫関連遺伝子の時間的変化にどのように影響するかが初めて生きた細胞内で確認されました。その結果、遺伝子の転写活性が時間とともにどのように変化するかを詳細に調査できる新たな手法が実現しました。

将来的な展望


この手法の発展により、免疫システムの理解が深まるだけでなく、老化やがんといった病態の解析においても新たな洞察をもたらすことが期待されます。今後は、他の遺伝子や異なる細胞の研究へも応用され、将来的には新しい治療法の開発に繋がることが期待されています。

用語解説


  • - Tocky: 遺伝子の活動を蛍光の色変化で記録する技術。時(トキ)から名付けられた。
  • - CRISPR: 指定したDNAを編集することができる革新的な遺伝子操作技術。
  • - 転写活性: DNAからRNAへの変換プロセスの活発さを示す指標。

論文情報


この研究成果は『Nature Communications』にて発表されました。論文の詳細はこちら

お問い合わせ


熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 特任教授 小野昌弘
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