Finatextとナウキャストが連携し、生成AIによる給付金査定業務の実証実験開始
最近、Finatextグループに属する株式会社Finatextと株式会社ナウキャストが、メディケア生命保険株式会社と連携し、生成AIを用いた給付金支払査定業務の実証実験を行うことを発表しました。この実験は、次世代金融インフラを通じて、保険業界におけるデジタルトランスフォーメーションを加速する意義を持っています。
背景
近年、保険商品の多様化により、支払条件や査定判断が複雑化し、保険会社は査定担当者の育成や品質維持に多大なコストを要しています。特に、メディケア生命においては、営業開始以来、保有契約の増加とともに給付金請求件数も増加し、従来の業務体制の見直しが急務となっています。
Finatextは、SaaS型デジタル保険システム「Inspire」を提供し、すでに15社以上の保険事業者に導入されています。さらに、2025年3月には生成AIを活用した査定文書自動生成機能を持つ「Inspire 査定支援LLM」が開発され、スマートプラス少額短期保険株式会社での実用が開始されています。これにより、保険事業者のデジタル化が進んでいます。
実証実験の概要
Finatextとナウキャストは、今回の実証実験において主に以下の目的を持っています。
1. 生成AIを活用し、給付金支払査定における人的判断の補助の有効性を検証
2. 最新AIモデルであるGPT-5を用いて、約款の学習をさせ、給付金支払可否の判断根拠を提示する機能を評価
3. 実務プロセスにおける生成AIの実用性を確認
4. 業務効率化と判断品質の向上に寄与するかを測定
この実証実験は、FinatextとナウキャストのAIコンサルタント及び業務スペシャリストによる分析を通じて、業務フローの整理やプロンプト作成が行われ、検証環境の構築と実際のケース検証も実施されます。
各社の役割
- - Finatextとナウキャスト: 生成AIの分析と環境構築、ケース検証、評価を行う。
- - メディケア生命: 実務に関する情報提供やフィードバック、サンプルケース作成などを担当。
これにより、各社が協力し合って給付金支払査定業務の効率化を図ることを目指しています。
今後の展望
Finatextとナウキャストは、この実証実験の結果を基に、メディケア生命での生成AIの実務導入について協議を行っていく予定です。実績が確認されれば、保険業界における給付金査定業務の新たなスタンダードとなる可能性があります。
Finatextグループの取り組み
Finatextグループは、「金融を“サービス”として再発明する」をミッションに、金融事業者と共に新しい金融サービスを展開しています。このように、デジタルトランスフォーメーションを通じてより良い金融環境の実現を目指し、今後も注目される活動を続けています。
この実証実験は、業界全体にとっても重要な取り組みであり、生成AI技術の有効性を実証することで、より効率的な保険査定業務のモデルを確立することが期待されます。