地方銀行のDX推進状況レポート2025が示す新たな課題と展望

株式会社メンバーズが発表した「地銀61行 DX推進状況レポート2025」は、全国の地方銀行61行を対象にした最新の調査結果です。このレポートは、地方銀行におけるWebサイト体験や顧客接点のデジタル化の現状を明らかにし、またAIやWebアクセシビリティといった新しい課題への取り組み状況も評価しています。

調査の背景

日本では、地方銀行が地域経済を支える重要な存在であり、そのデジタルシフトの進展が地域活性化のカギとされています。政府の「地域金融力強化プラン」に基づき、地方銀行の役割と強化が求められています。このような背景の中、メンバーズの調査では、DX（デジタルトランスフォーメーション）の進行状況が評価されました。

主な調査結果

AI対応の進展

調査の結果、約64%の地方銀行が大規模言語モデル（LLM）を最適化し、社内コンテンツが引用・参照されやすい状態を作っています。これにより、顧客が求める情報を的確に届けるための基盤が整いつつあることが分かります。

Webアクセシビリティの問題

しかし一方で、Webアクセシビリティに関する課題も浮かび上がりました。約72%の銀行が、弱視やロービジョンユーザーに対する対応に問題を抱えており、音声ユーザビリティについても全く90点以上を達成している銀行はいないという結果が示されました。これは、特に視覚に障害を持つユーザーが利用しやすい環境を整える必要があることを示唆しています。

オンラインサービスの充実

また、約64%の銀行がチャットボットを通じて24時間365日のカスタマーサービスを提供していることも明らかになりました。さらに、約85%の銀行でアプリから振込や残高照会が可能であり、オンライン予約や相談機能のある銀行も増えています。

自社メディアの活用

興味深い点として、オウンドメディアを運営する銀行も約30%存在し、金融に関する情報や地域の特色を活かした内容を発信しています。これにより、デジタル志向の顧客との関係性を強化し、集客効果を狙っています。

今後の課題と展望

調査から得られた知見は、地方銀行がいかに顧客体験を向上させ、地域社会に貢献するかという点において非常に重要です。特にWebアクセシビリティについては、政策が進む中で改善すべき領域としてますます注目を集めています。企業はこの課題に取り組むことで、より多くの顧客にアクセスできる環境を整えることができます。

また、DXの進展により顧客との接点がデジタル化される中で、銀行がどのようなサービスを提供し、どのように地域経済を支えるかが今後の大きな課題と考えられます。

今後の調査と進展に期待が寄せられる中、メンバーズは引き続き地域金融機関のDX支援を行い、地方銀行の持続可能な成長と地域活性化に向けて行動していく所存です。