千葉工業大学の新たな挑戦
千葉工業大学が掲げる高度技術者育成プログラムの一環として、学生たちが製造した超小型人工衛星4号機「BOTAN」が、2025年夏に宇宙へと打ち上げられます。これは国際宇宙ステーションへの打ち上げに向けて2025年2月28日に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に引き渡されることが決定しています。
成長し続ける宇宙産業
近年、宇宙産業は急速に拡大しています。日本国内でも多くのベンチャー企業が新たなビジネスアイデアを持ち、宇宙ビジネスへと参入しています。ところが、新たなビジネスを実現するために求められる技術者の数は非常に不足しています。千葉工業大学は、この問題を解決すべく、2021年4月から「高度技術者育成プログラム」を開始しました。
このプログラムでは、宇宙における実用的なソリューションを創出するための技術者を育成しています。これまでに「KASHIWA」、「SAKURA」、「YOMOGI」の3機の人工衛星を打ち上げ、そのすべてが成功を収めています。
4号機「BOTAN」の概要
「BOTAN」は、10cm×10cm×10cmのサイズを持つ超小型衛星(1Uキューブサット)であり、学生たちがその製作に取り組みました。この衛星は、宇宙で確実に機能することを目指し、多くの学びを重ねてきました。また、打ち上げに必要な各種手続きを学生自身が行い、貴重な経験を積みました。
2025年夏には、アメリカのスペースX社が提供するFalcon9ロケットにより打ち上げられ、ノースロップグラマン社のシグナス補給船NG-22号機によって国際宇宙ステーションに輸送される予定です。その後、一定期間の保管の後に、軌道に投入されることになります。
「BOTAN」のミッションとは?
「BOTAN」にはいくつかの主要なミッションが設定されています。最低限の成功条件としては、宇宙で衛星基本機能の動作確認と、撮影した画像の地球での復元が含まれています。さらに、独自のミッションとして以下の内容が予定されています。
- - オーロラ観測および太陽フレアの影響調査
- - アメリカ・サウスダコタ州におけるトウモロコシの生育状況調査
- - 海底火山噴火時の軽石調査
- - ジャイロセンサを用いた衛星姿勢情報の収集
- - アマチュア無線家へのサービス(APRS)
- - 新型衛星用太陽電池パネル(CIGS)の宇宙実証(出光興産株式会社との共同ミッション)
これらのミッションは、教科書や授業だけでは得られない、実践的な技術を習得するための重要なステップとなることでしょう。
チーム名とミッションへの思い
学生たちは、庭園に美しい草花が育つ様子にインスパイアを受け、自らのチームを「GARDENS(ガーデンズ)」と名付けました。このチーム名には、学生たちや衛星自身が成長していくことを願う気持ちが込められています。また、超小型衛星の名称「BOTAN」は、牡丹の花から取られており、以前の衛星開発経験を生かして大きな成果を上げたいとの期待を示しています。
今後の展望
千葉工業大学の「BOTAN」は、宇宙産業の発展に寄与するだけでなく、未来の技術者たちが実践的なスキルを磨くための大きな舞台となることでしょう。学生たちの挑戦は、今後の宇宙ビジネスにおける次世代の可能性を大いに広げてくれるに違いありません。彼らの努力が結実し、「BOTAN」による新たな発見が待たれることでしょう。