警備業界の人材確保：離職率を低下させる新たな挑戦

警備業界の新たな挑戦：離職率低下への道

近年、警備業界において非常に高い離職率と人材不足という深刻な問題が浮き彫りになっています。特に、交通誘導を行う「2号警備」においては、この傾向が顕著です。これに対して、株式会社strayaと株式会社トスネットは新たな取り組みを始めました。

警備業界における人材不足の現状

strayaの調査によれば、警備業界は「年間採用数と年間退職数がほぼ同じ」という厳しい実態に直面しています。ある警備会社では、一年で2,300名を採用したにもかかわらず、1,800名が退職しました。このように、高い採用コストをかけて人材を集めても、結果的にその資産が活かされないケースが多いのです。

離職防止の経済的影響

警備業界での離職防止は、人件費や売上機会の損失にもつながります。例えば、1人あたりの採用コストが平均30万円だとすると、年間で40人を採用するだけで最大1,600万円の投資を必要とします。そして、離職率が10%改善されれば、経済効果は約1,300万円に達することもあります。これは企業にとって非常に大きなインパクトです。

退職の心理とその見逃し

現場職が直行直帰を基本としている警備業界では、退職の兆候をつかむことが非常に困難です。多くの警備員が心の内を共有できず、8割が誰にも相談せずに退職を決めています。このような環境下では、気づかないまま退職が起こることが多く、予防策を講じることが難しいのが現状です。

共同研究の狙いと具体的な計画

この課題に対処するため、strayaとトスネットは退職者予測モデルの共同研究を開始しました。今年から、勤務データと行動データを用いたモデル構築や、予兆があった際の先回りケアを検証していきます。これにより、退職を未然に防ぐための新しいマネジメントモデルを構築することを目指しています。

企業の概要と意義

株式会社トスネットと株式会社strayaは、それぞれ警備業界でのサービス提供を行っています。トスネットは、全国に90拠点を展開し、安全・安心事業を推進しており、特に電源供給サービスにも展開しています。一方、strayaは警備業界のDX化を進め、業務の効率化を図るSaaS「くもかん」を提供しています。これらの企業が連携することで、業界の未来を見据えた新たな解決策が誕生することが期待されます。