広島市水道局高陽浄水場の設備更新工事が決定

広島市の水道システム更新プロジェクト

広島市水道局が進める「広島市水道ビジョン」に基づき、水道機工株式会社は高陽浄水場において2025年から2029年にかけて行う活性炭注入設備の更新工事を発表しました。この工事は、長期的に安定した水質を確保するための重要なステップとして期待されています。

工事の目的と概要

老朽化した活性炭注入設備を更新することで、特に夏季に発生するカビ臭や有機物臭の改善が図られます。これにより、より高性能な水質処理が可能となり、季節変動に左右されず安定した水供給が実現することが期待されています。また、プラント設備配管の更新も行われ、耐久性や安全性の向上が見込まれています。これにより、維持管理の効率化も果たされる見込みです。

なぜ今、更新工事を行うのか

高陽浄水場は、1980年から広島市北部及び東部地域に水を供給しており、日々約20万㎥の水を処理しています。しかし、日本の浄水場は多くが戦後に整備されたものであり、老朽化や設備更新にかかるコスト増といった課題が山積しています。さらに、人口減少や水需要の低下に伴い、投資回収の難しさも指摘されています。これらの状況を踏まえて、広島市が策定した「広島市水道ビジョン」では、将来にわたって給水の安全性と安定性を確保しつつ、持続可能な水道システムを構築することが重要なテーマとされています。

広島市水道ビジョンの背景

「広島市水道ビジョン」は、2009年に策定されたものであり、給水事業の中長期的な運営指針となっています。水需要が過去最高を記録した1992年以降、減少が続いており、料金収入も減少傾向にあります。これに対し、浄水場の施設更新や災害対策に伴う投資は必須となっているものの、収益にはつながっていないのが現状です。そのため、ビジョンでは災害対策、施設更新、環境保全、経営効率化、サービスの質の向上を重点的に取り組むことが求められています。また、社会情勢の変化に応じて内容の見直しも随時行われています。

高陽浄水場の詳細

広島市安佐北区に位置する高陽浄水場は、353,000㎡の広大な敷地を持ち、1日あたり20万㎥の給水能力を誇る施設です。1980年から給水を開始し、広島市内の重要な水源の一つとなっています。この工事により、より多くの市民へ安全で安定した給水サービスを提供することが目指されています。

水道機工株式会社の取り組み

水道機工株式会社は、1924年に創業し、約100年間水に関わる事業を展開してきました。「100年後も人と地球をつなぐ情熱で、笑顔あふれる環境を技術と製品で創造し、社会に貢献します」を企業理念として掲げ、持続可能な水道サービスを提供するために努力を続けています。今回の高陽浄水場の設備更新工事は、同社の中長期的なビジョンとも合致しており、地域社会に貢献する重要な取り組みとなるでしょう。