金融審議会が議論するスタートアップ支援策とその影響
金融審議会が議論するスタートアップ支援策とその影響
2023年10月15日、金融庁の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」は、第3回会合を開催しました。この会合では、スタートアップ企業の資金調達に関する重要な視点が多く取り上げられました。特に、免除基準の引き上げや投資家保護に向けた新たな制度について活発な議論が交わされました。
会合の概要
議事は、神作座長の司会のもと、出席者からの意見交換が行われました。会合では、現行の有価証券届出書提出免除基準について、5億円から10億円への引き上げが提案され、その影響や懸念事項についても幾つかの意見が出されました。参加者は、スタートアップ支援の重要性に共感する一方、投資家の保護についても十分な配慮が必要であるという見解を示しました。
スタートアップ企業への資金供給
スタートアップ協会を代表する砂川氏の発言によると、スタートアップの資金調達は基本的に少人数私募の枠組みで動いていますが、シード・ラウンドにおいて初期段階の起業家が資金調達先に苦慮する現実が指摘されました。加えて、特定の投資家を対象とした私募がいかに行われるか、またそのプロセスの透明性が求められています。
特に、提案されている「少額免除制度」の拡充により、資金調達のフレキシビリティが向上することが期待されていますが、開示コストの負担が依然として課題です。投資家がスタートアップに投資を行う際の情報の透明性を確保しつつ、スタートアップ側の負担も軽減するような制度設計が望まれています。
投資家保護の重要性
投資家保護の観点から、今後は有価証券通知書の公表とともに、会社法に基づく事業報告や計算書類の提出も求められることが提案されています。記載内容においては、監査報告書の添付がなされる条件も明記される見込みです。こうすることで、金融庁としては新制度導入に伴う情報の信頼性を高め、透明性を確保しようとしているのです。
慎重な制度設計
会合の中で多くの委員から指摘があったのは、潜在的特定投資家の制度への拡大についてでした。この制度が導入されることで、果たして投資家保護がしっかりと行われるのかという疑問の声が挙がりました。一般の投資家が以前の特定投資家の条件を満たさずに投資するリスクについても配慮が必要です。
特定投資家の要件拡大がビジネス適応に寄与する一方で、制度的な整備が進まなければ、円滑な資金供給には繋がらないというのが多方の共通理解といえるでしょう。
結論
今回の金融審議会では、スタートアップ企業を支援するためのさまざまな制度が提案されており、値上げされることが期待されます。特に、投資家保護と企業への資金供給のバランスを見極める中で、どのように新たな申し出制度を進めるかが今後の焦点となるでしょう。