住友電気工業、DPS社とのレアメタル回収契約締結
2023年11月8日、住友電気工業株式会社は、京都本社の株式会社ディーピーエス(DPS社)とフレキシブルプリント回路(FPC)製造過程で発生するレアメタル、特にパラジウム(Pd)の回収に関する契約を結びました。この取り組みは、国際的な資源循環の促進を目的とし、持続可能社会の実現を目指しています。
FPC製造工程における課題
FPCの製造工程では、層状に形成された回路を通電させるために複数の金属もめがき処理が行われます。その中でも、銅や金のめっきが特に重要ですが、Pdも触媒として加えられています。このPdを含む洗浄排水は、これまで効率的に回収されず捨てられていたため、この課題に対処する契約が結ばれたのです。
DPS社の技術
DPS社は独自に開発したシリカゲル「DualPore™」を使用して、Pdを効率的に吸着・回収する技術を提供します。このテクノロジーは、微量のPdを含む洗浄排水からPdを吸着することで、これまで無駄になっていた資源を再利用可能にします。このプロセスは、社内の現場試験を経て正式に採用されました。
環境への配慮と資源循環
この契約により、回収されたPdは日本国内の金属精錬業者に販売される仕組みが確立され、その結果、原価の低減が期待されます。また、レアメタルに対する需要が高まる中で、この取り組みは国際資源循環の一翼を担うことになります。これによって、採掘や精錬に伴う環境への負荷軽減にも寄与することが見込まれています。
今後の展望
住友電気工業は、今回の契約を皮切りに、他のFPC製造拠点やその他の製造工程にもDPS社の技術を応用する検討を進めています。今後もカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに向けた取り組みを強化し、持続可能な社会の構築に寄与していく計画です。
DPS社のコメント
DPS社の白社長は、本契約を通じて自社の技術がPd回収だけでなく、生産技術としての広範な可能性を評価されたことを喜ぶコメントを寄せています。希薄濃度の液体から貴重資源の回収・固定化ができ、国際的なリサイクルモデルに発展させたい意向を述べています。
このように、住友電気工業とDPS社のパートナーシップは、持続可能な未来に向けた重要なステップとなることでしょう。