お札の肖像に秘められた物語!公文書で紐解く紙幣の歴史展
私たちの生活に欠かせない紙幣。日本の紙幣には、歴史に名を刻んだ様々な人物の肖像が描かれています。
「なぜこの人物が選ばれたのか?」
「紙幣のデザインにはどんな意味が込められているのか?」
そんな疑問に答える、令和6年夏の特別展「お札に描かれた人物-公文書で見る紙幣の歴史-」が、国立公文書館にて開催されます。
本展では、明治初期の太政官札から、日本銀行券、そして現代の紙幣まで、貴重な公文書を通して紙幣の歴史をたどり、肖像画に隠された物語や人物に迫ります。
明治初期の紙幣:偽造対策から生まれた肖像画
明治元年、明治政府により太政官札が発行されましたが、偽造が横行するなど多くの課題が生じました。
こうした課題への対策として、明治5年に新紙幣(明治通宝)が発行されましたが、偽造防止対策として、明治10年、得能良介紙幣局長は新しい紙幣の製造方法について大隈重信大蔵卿に伺いを提出。
その中で、偽造防止には写真彫刻が一番の方法であり、外国では多くの紙幣が国王の写真を入れているとし、明治14年から政府が発行する紙幣(改造紙幣)には神功皇后が描かれることになりました。
日本銀行設立と兌換銀行券の発行:肖像画の選定基準
明治15年、日本銀行が創設され、明治17年に兌換銀行券条例が制定されました。
明治18年から、この条例に基づき、日本銀行兌換銀券が発行されましたが、すべての券種に大黒天が描かれたことで、額面の違いが分かりにくくなるなど、問題も発生しました。
そこで、新たな紙幣を製造する際に、今後、各種紙幣の肖像は、「日本武尊」、「武内宿禰」、「藤原鎌足」、「聖徳太子」、「和気清麿」、「坂上田村麿」、「菅原道真」の7名とすることが提案され、閣議決定を経て裁可されました。その後、昭和21年の紙幣発行まで、この7名の中から肖像が選ばれました。
日本銀行券の時代へ:戦後から現代へ
昭和17年、日本銀行法が公布され、日本銀行が発行する日本銀行券は兌換義務のない紙幣となりました。
戦後の紙幣肖像は、政治家、文化人を中心に選ばれてきました。令和6年7月に発行された新しい一万円紙幣の肖像には渋沢栄一が選ばれましたが、渋沢栄一は、初代紙幣頭(紙幣寮のトップ)を務めたことから、印刷局の功労者として表彰されました。
本展では、これらの貴重な資料を通して、紙幣の歴史と肖像画に込められた意味、そして人物たちの物語を紐解いていきます。
展示概要
特別展タイトル: お札に描かれた人物-公文書で見る紙幣の歴史-
開催期間: 令和6年7月20日(土)~9月16日(月・祝)
開催地: 国立公文書館東京本館1階展示ホール
住所: 〒102-0091東京都千代田区北の丸公園3-2
アクセス: 東京メトロ東西線竹橋駅下車1b出口徒歩5分
開催時間: 午前9時15分~午後5時00分
※8月16日(金)・9月13日(金)は午後8時まで開館します!
入場料: 無料・予約不要
関連イベント
- - 展示解説会
- - 小学生向け・中高生向けの展示会関連イベント
- - 「終戦の詔書」原本特別展示
詳細については、国立公文書館のHPまたはSNSをご確認ください。