開成町に新たな支援システム登場
2025年5月から、神奈川県開成町で「こども見守りシステム」が運用を開始することが発表されました。このシステムは、株式会社内田洋行が開発し、町内の福祉と教育部門が持つこどもに関連する情報を統合することを目的としています。これにより、支援が必要なこどもやその家庭を早期に発見し、支援を行う体制が整うことになります。
開成町の現状とシステム導入の背景
開成町は、神奈川県内で最も面積の小さい町でありながら、東京からのアクセスが良く、自然環境に恵まれていることから、子育て支援が充実しています。2020年度には、年少人口の割合が14.8%と県内でトップとなり、学齢期の子どもを持つ家庭の転入が増えています。しかし、その一方で就学前の情報が不足している場合が多く、支援が必要な家庭を見つけ出すことが難しい状況です。
また、虐待に関する通報やハイリスク妊婦の情報が増加していることから、保健師やケースワーカーの業務が増大し、効果的な支援体制の強化が急務となっています。これを受け、開成町は2024年から新たに設置される「こども家庭センター」において、見守りシステムの導入を決定しました。
こども見守りシステムの特長
新システムでは、約40種類のデータを集め、支援が必要なこどもを特定します。このデータ収集は個人情報に配慮しつつ行われ、福祉や教育の各分野で収集した情報をもとに、リスクを判定・分析し、可視化します。特に、支援対象の選定に際して生成AIは使用しないなど、透明性と信頼性を重視しています。
主な機能としては、専門職のノウハウを活かした「リスク判定・データ分析」機能があり、ヤングケアラーや貧困、虐待など困難に直面するこどものリスクをスコア化します。このスコアは、有識者の知見に基づいて策定されたロジックで生成され、支援の必要性を総合的に評価します。
ダッシュボード機能
さらに、現場職員が操作しやすいようにデザインされたダッシュボード機能も搭載されています。この機能では、全体の状況を把握しつつ、特に支援が必要な家庭やこどもについてさらに詳細な情報を確認できます。たとえば、「ヤングケアラーの可能性があるが未登録のこども」に焦点を当て、必要な支援を絞り込むことが可能です。
安全性の高いデータベース
こども見守りシステムは、マイナンバーを用いた厳重なアクセス管理が施されており、個人を特定できる情報は仮名化加工などの手法で保護されています。これにより、安全にデータを取り扱うことができます。
支援業務の運用と今後の展望
このシステムを利用した支援業務は、定期的に開催されるカンファレンスを通じて行われ、専門職たちが連携を図りながら支援の必要性を議論します。このように、教育と福祉の連携による支援体制の構築が目指されています。また、2024年度には月1回のデータ更新を行い、最新の情報に基づき見守りを実施します。
今後は、地方公共団体の業務システムの標準化にも対応していく予定で、他の自治体への展開も視野に入れています。
内田洋行の役割
内田洋行は、教育と福祉分野において系統的にシステムの開発を行っており、幅広い知見を活かして「こども見守りシステム」の実現に向けた取り組みを進めています。地域全体の子どもたちの健やかな成長と、データを活用した柔軟な支援体制の構築を目指しています。