JAXA認定ベンチャーが水道漏水リスクを管理する新システムを導入

JAXA認定の新しい水道管理システムの導入

近年、老朽化や気候変動の影響、少子高齢化などが重なり、日本の水道インフラは深刻な課題に直面しています。そこで、JAXA認定の宇宙ベンチャー「株式会社天地人」が開発した漏水リスク管理業務システム「天地人コンパス宇宙水道局」が注目を集めています。このシステムの導入自治体数が20を超えたことを受け、その効果や理念について詳しく探ります。

漏水リスク管理システムの概要

「天地人コンパス宇宙水道局」は、衛星データとAI技術を融合させたクラウド型のマッピングサービスです。水道事業体や指定業者が漏水調査を効率的に行うために設計されています。システムは、複数の人工衛星から得られるデータとオープンデータ、電子化された給水台帳や配水管図を組み合わせ、100m四方のエリアごとに漏水リスクをピンポイントで特定します。

リスクの高い領域は5段階で分けられ、赤色は最も漏水リスクが高いことを示しています。このように色分けされたマッピングにより、即時にデータを確認し、迅速な漏水の検出や修理計画の立案を支援しています。

システムがもたらす高い効率性

実際に本システムを導入した自治体では、日常的に漏水地点を登録・管理することが可能になり、蓄積されたデータを基にAIが漏水リスクを再評価することが期待されています。2022年度には、内閣府との実証実験を実施し、最大65%の点検費用削減と調査期間の最大85%削減が見込まれました。これにより、自治体の水道サービスの効率化が進んでいます。

技術力が高く、導入が容易

このシステムの高い技術力と低い導入ハードルが評価され、厚生労働省、国土交通省、総務省が実施する「第7回インフラメンテナンス大賞」では厚生労働大臣賞を受賞しました。サービスの提供が始まった2023年4月から累計契約自治体数は20を突破（2024年8月現在）。

持続可能な未来への視点

天地人は、2050年に向けて持続可能な地球環境を実現することを目指して活動しています。気候変動や水資源の枯渇が進む中、彼らは「宇宙から地球を見る」という視点を持ち、地球の声を聞き、未来に向けた解決策を探し続けています。

「地球と人類に対する私たちの使命は、誰もが行動を起こせる仕組みを作り、持続可能な社会への移行を加速させることです」と、代表取締役の櫻庭康人氏は述べています。自然との調和を重視し、地球への愛情をもって行動することが重要であると信じています。