抗体糖鎖分析キット発売
2024-07-03 15:01:08

住友ベークライト、抗体糖鎖分析キットを発売!島津製作所製自動前処理装置との連携で効率化を実現

住友ベークライト、抗体糖鎖分析キット発売!島津製作所製自動前処理装置との連携で効率化を実現



住友ベークライト株式会社は、抗体糖鎖自動前処理装置「MUP-3100」(株式会社島津製作所製)専用の抗体糖鎖分析キット「Auto-EZGlyco™ mAb-N Kit for SHIMADZU」を発売しました。

このキットは、製薬企業や医薬品開発製造受託機関(CDMO)における抗体医薬品の研究開発や品質管理において、液体クロマトグラフ(LC)や液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)と組み合わせたラボラトリーオートメーションシステムを指向しています。従来、抗体医薬品の糖鎖分析には複数の工程が必要で、2日程度の時間を要していました。しかし、本キットと「MUP-3100」を組み合わせることで、これらの工程を自動化し、時間短縮と効率化を実現します。

抗体医薬品の糖鎖分析の課題



抗体医薬品は、遺伝子組み換え技術を用いて細胞で生産されたタンパク質で構成されています。抗体に結合した糖鎖は、抗体医薬品の有効性や安全性に影響を与えるため、研究開発や品質管理において、LCやLC-MSによる糖鎖成分の分析が必須です。

特に、バイオシミラーの開発においては、先発品との糖鎖の比較試験が重要な品質管理項目となっています。しかし、従来の糖鎖分析は、①培養液からの抗体精製、②抗体からの糖鎖切り出し、③糖鎖精製、④糖鎖の蛍光ラベル化、という複数の工程が必要で、時間と労力を要していました。

住友ベークライトの独自技術



住友ベークライトは、2016年に抗体糖鎖分析キット「EZGlyco® mAb-N kit with 2-AB」を発売しました。このキットは、抗体精製カラム上で糖鎖遊離を行うという独自の手法を採用することで、従来の複数の工程を数時間で完了できるよう簡便化しました。

しかし、サンプル数が多くなると、作業者の操作負担が課題となっていました。そこで、住友ベークライトは、島津製作所の自動前処理装置「MUP-3100」との連携により、糖鎖分析の自動化を実現しました。

自動化による効率化と利点



「Auto-EZGlyco™ mAb-N Kit for SHIMADZU」は、「MUP-3100」専用の消耗品として使用されます。「MUP-3100」は、「EZGlyco® mAb-N kit with 2-AB」のマニュアル操作を自動で再現する装置で、抗体医薬品の研究開発や品質管理における糖鎖分析の前処理を自動化します。

これにより、作業者の負担を軽減し、手順間違いや分析結果の不良、ばらつきの低減にも貢献します。

今後の事業展開



住友ベークライトは、島津製作所と連携して、抗体医薬品糖鎖分析市場の開拓と販売を進める計画です。両社の技術を組み合わせることで、新たな糖鎖分析ソリューションを確立し、抗体医薬品糖鎖分析市場での業績拡大を目指します。日本国内だけでなく、バイオシミラー産業やCMO/CDMOの成長が著しいアジア地域での販売拡大も視野に入れています。

糖鎖の重要性



糖鎖は、私たちの体を構成する重要な生体高分子の一つです。生体内のタンパク質の多くに糖鎖が結合しており、糖鎖によってタンパク質の性質や機能が制御されていることが知られています。抗体医薬品においては、糖鎖は抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性や免疫原性などに影響を与えることが知られています。

まとめ



住友ベークライトが発売した抗体糖鎖分析キット「Auto-EZGlyco™ mAb-N Kit for SHIMADZU」は、島津製作所の自動前処理装置「MUP-3100」との連携により、抗体医薬品の糖鎖分析を効率化し、研究開発や品質管理を加速させる画期的な製品です。今後、抗体医薬品開発の更なる進展に貢献することが期待されます。


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