千葉市での新しい心疾患患者支援事業開始
NTTコミュニケーションズ株式会社、通称NTT Comが、千葉市で心疾患患者の健康改善を目指した新たな実証事業を2024年11月7日から始めることを発表しました。この取り組みは、心疾患による健康上の問題を抱える人々に対して、継続的なリハビリテーションの機会を提供し、健康寿命の延伸を目指しています。
心疾患に対する社会的な課題
心疾患は、日本において死亡原因の第2位を占め、2030年には心不全患者が約130万人に達すると予測されています。更に、心疾患は再発しやすく、患者はしばしば入退院を繰り返すため、医療現場の負担が大きくなっています。一方、千葉医療圏は心疾患に関連する手術が多く行われているものの、外来リハビリの実施件数は非常に少なく、患者が持続的に運動を行うための支援が急務となっています。
実証事業の概要
この実証事業では、ICT技術を活用して心疾患患者向けの自己リハビリ環境の整備を進めます。患者が使用するスマートウォッチやスマホアプリ「みえるリハビリ」を通じて、運動結果やバイタルデータを収集・可視化し、自宅などでの運動をサポートします。
行動変容に向けたハイブリッドアプローチ
本実証事業の特徴は、ICT技術と人的サポートの組み合わせによる行動変容の促進です。患者がスマートウォッチから取得したデータをもとに、行動経済学に基づいた反馈システムが活用され、応援メッセージが送信されます。相談員によるサポートも行い、患者が自発的にリハビリに取り組む意欲を引き出します。
生成AIによる個別フィードバック
また、生成AIを駆使したフィードバックも取り入れられています。患者の性格や嗜好に合わせたメッセージを定期的に提供することで、その人に最適なサポートを実現します。この技術は「肯定的な衝動を誘発する内発的動機付けメッセージ生成技術」に基づいており、患者の運動習慣の改善を狙っています。
将来的な展望
NTT Comは、今回の実証事業を通じて、心疾患患者が自己リハビリを行うことで、地域の医療機関と連携しながら包括的な患者支援体制を構築することを目指しています。これは単なる一企業の取り組みに留まらず、地域全体でのヘルスケアの質を向上させ、日本全体の健康寿命の延伸にも寄与することが期待されます。
このような新しい試みが実を結ぶことにより、心疾患患者のQOL(生活の質)を高め、健康で安心して暮らせる地域社会の実現につながることを願っています。