生成AIが広報業務に革新をもたらす
最近の広報業務において、企業の情報発信の重要性は増す一方で、広報担当者の負担も増大しています。そんな中、株式会社メタリアルが開発した新しい生成AI、「広報AI」が登場しました。このAIは、広報業務の効率化を目指し、特にプレスリリース作成の役割を担うことが期待されています。2025年4月6日、日本広報学会 第7回研究フォーラムで発表されたこの技術は、広報の新しいスタンダードになるかもしれません。
研究の背景
メディアやSNSが多様化することで、企業は多くの機会を得ていますが、それに伴い広報業務の負担も増しています。特にプレスリリースの作成は、広報にとって欠かせない業務である一方、効果的な情報発信が難しいという課題があります。メタリアルは、この課題を解決し、自社の広報担当者がよりクリエイティブな仕事に従事できるようにするため、生成AIの開発に着手しました。
研究手法
メタリアルでは、広報担当者とAIエンジニアからなるプロジェクトチームを設立し、AIに搭載すべき機能の設計に着手しました。さまざまな企業の広報担当者からの意見を反映させるため、インターネット調査を実施し、プレスリリースに必要な要素を特定。調査結果を元に、メディアが興味を示すプレスリリースの要素や評価項目を決定しました。
研究結果
「広報AI」は二つの主要な機能を搭載しています。まず、複数のAIエージェントが対話を重ねることで、キャッチーで魅力的なタイトルを生成するプレスリリース生成機能です。従来の生成AIとは異なり、AI同士が協力して情報を推敲し、より魅力的な文書を生み出します。
次に、独自のメディア掲載判定ロジックを持つ採点機能です。これは、過去のメディア記事から得られたデータを基に、プレスリリースがメディアに取り上げられる可能性を高精度で判断します。この機能は、約72%の精度でスコアを算出することができます。
研究成果と今後の展望
この研究によれば、「広報AI」は一般的な生成AIに比べて、もっと豊かな表現力と興味を引く情報を取り込む能力を持っていることが確認されました。今後は、プレスリリースの精度をさらに向上させるため、ファクトチェック機能の追加を計画しています。また、現在は「新商品・新サービス発表」への対応だけでなく、他のカテゴリーへの展開も目指しています。
コメント
日本広報学会の常任理事、田代順氏は、この研究が広報業務に新たな視点を提供し、生成AIの未来を見据えた意義深いものであると評価しました。特に複数のAIエージェントによる対話が生み出す自然な文章生成は、単なる自動化を超え、広報の本質に迫る技術革新であると述べています。
メタリアルについて
株式会社メタリアルは、業種特化の専門文書AIの開発を行い、多岐にわたる業界に対応しています。このような技術革新が、広報業務の質を高めるだけでなく、AIと人の協働による新たな価値の創造を推進することが期待されます。広報の未来は、すでに始まっているのです。