献血基準見直しの背景と新方針の導入
2026年10月1日から、日本における献血に関する新しい基準が導入されます。この新基準では、これまで厳格に定められていた英国や欧州滞在歴に基づく献血制限が撤廃され、さらにヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤の使用歴に関する規定も見直されます。これは、国内外で評価された感染リスクに基づいて行われたものです。
見直しの背景
この献血制限は、英国を中心とする牛海綿状脳症(BSE)の流行や、それに伴う変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の感染リスクを考慮して実施されてきました。特に、1999年からは英国に6か月以上滞在した方が献血を控えるように定められ、2005年には初めて国内で確認されたvCJDの症例を受けて制限が強化されました。
過去の経緯
以下は、献血制限に関する主な経緯です。
- - 1999年: 英国6か月滞在者に献血制限を開始。
- - 2005年: 国内初のvCJD症例の確認を受け、一日以上の滞在で制限強化。
- - 2006年: プラセンタ使用者への献血制限を導入。
- - 2010年: 英国滞在基準を1か月以上に緩和。
- - 2022年以降: 米国や豪州が欧州滞在歴に基づく献血制限撤廃。
- - 2026年1月: 厚労省が献血基準の見直しを発表。
- - 2026年10月: 新基準の運用を開始。
新基準の内容
この新しい基準は、これまでの厳しい制限を大きく緩和するものです。具体的には、
- - 欧州滞在歴に基づく献血制限が撤廃され、今後は過去の滞在歴に関係なく献血が可能となります。
- - プラセンタ注射剤の使用歴がある方については、最終使用日から3か月間の献血制限が設けられ、3か月後には献血が可能です。
また、海外からの帰国日から4週間以内の献血制限や、健康状態に基づく基準などは引き続き適用されます。これらの変更は、献血を希望する方々にとって大きな前進となります。
安全性の確保
安全性については、厚生労働科学研究によるリスク評価が行われました。その結果、英国滞在歴に基づく制限を撤廃しても、国内でのvCJD患者の増加はないと結論付けられています。実際、2005年以降新たな症例の報告はなく、海外でも同様のリスク評価に基づいて献血制限の緩和が進められています。
これまで制限されていた皆さまへ
これまで長期にわたり献血ができなかった皆さまには心より感謝申し上げます。新たな基準により、皆さまの献血協力が可能になることを嬉しく思います。ぜひ、献血にご参加いただき、多くの人々の助けになる活動に貢献してください。
報道機関へのお願い
日本赤十字社は、これまで献血による安全性を最優先に取り組んできました。新基準の施行後も、厳格な問診や検査を実施し、患者に安全な血液製剤を安定的に供給する体制を維持します。報道機関の皆様には新たな基準を広く知らせ、献血への理解と協力を呼びかけていただきたいと思います。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)について
この病気はBSEに由来する異常プリオンが原因で発症する脳神経疾患です。症状には抑うつや不安、進行性の神経症状が含まれます。感染経路にはBSE感染牛の肉製品摂取や、原発感染者からの輸血があります。
参考リンク
詳細については、厚生労働省の公式ページをご覧ください。
厚生労働省