デジタル庁の政策評価・行政事業レビュー有識者会議:GSS、GビズID、ベース・レジストリ事業の現状と課題

デジタル庁の政策評価・行政事業レビュー有識者会議:GSS、GビズID、ベース・レジストリ事業の現状と課題



デジタル庁は、令和6年6月19日に第2回政策評価・行政事業レビュー有識者会議を開催しました。この会議では、デジタル社会形成の司令塔としての役割を担うデジタル庁が推進する3つの重要事業、ガバメントソリューションサービス(GSS)、法人共通認証基盤(GビズID)、ベース・レジストリ事業の現状と課題について議論が行われました。

1. ガバメントソリューションサービス(GSS)



GSSは、行政機関の業務効率化とセキュリティ強化を目的としたクラウドサービスです。会議では、GSSの利用状況や課題、今後の展望について議論が行われました。

課題

GSSユーザー数の増加だけでは、実際にGSSが有効活用されているかを測る指標としては不十分。 満足度調査など、ユーザーの利用状況をより詳細に把握する必要がある。
GSSの利便性向上やセキュリティ対策については、具体例を挙げて説明する必要がある。 特に、従来のシステムと比較してどのような改善が得られたのか、具体的な事例を示すことで、委員の理解を深めることが重要。
GSSへの移行に伴う、各府省庁の個別システムとの連携について、具体的な方法を示す必要がある。 複数のシステムを連携させる際の課題や、将来的なシステム統合に向けたロードマップを示すことが重要。
セキュリティ対策については、物理的な電力喪失のリスクなども考慮する必要がある。 GSSのセキュリティ対策が、地震などの災害にも対応できるよう、具体的な対策を検討する必要がある。

今後の展望

GSSの利用を促進するためには、ユーザーの満足度向上とセキュリティ対策の強化が不可欠。
各府省庁の個別システムとの連携を強化することで、GSSの利便性をさらに向上させる必要がある。
GSSのセキュリティ対策を強化し、災害への対応力を高めることが重要。

2. 法人共通認証基盤(GビズID)



GビズIDは、法人によるオンライン手続を簡素化するための共通認証基盤です。会議では、GビズIDの普及状況や課題、今後の展望について議論が行われました。

課題

GビズIDの取得は義務ではなく、事業者の自主的な判断に委ねられているため、取得率が低い。 中小企業を中心に、デジタル化への対応が遅れている現状がある。
GビズIDの導入による時間短縮効果やコスト削減効果など、具体的な効果を測定する必要がある。 コスト評価については、紙媒体による手続との比較だけでなく、個別システム開発・運用との比較も必要。
GビズIDの取得に伴う、個人情報の取り扱いについて、明確な説明が必要。 事業者から提出された情報はどのように管理され、利用されるのか、透明性を確保する必要がある。
GビズIDは、頻度が低い行政手続においても有効活用できるのか、ユーザー視点からの検討が必要。 すべての行政手続においてGビズIDが有効とは限らないため、ユーザーの利便性を考慮した導入を進める必要がある。

今後の展望

GビズIDの普及を促進するためには、中小企業への積極的な広報活動と、ユーザーの利便性向上を図る必要がある。
GビズIDの導入による時間短縮効果やコスト削減効果などを明確にすることで、事業者の導入意欲を高める必要がある。
個人情報保護を徹底し、事業者の信頼を得ることが重要。

3. ベース・レジストリ事業



ベース・レジストリ事業は、行政機関が保有する各種データの基盤となるデータベースを整備する事業です。会議では、ベース・レジストリ事業の整備状況や課題、今後の展望について議論が行われました。

課題

ベース・レジストリ事業は、住所や地番など、複数の分野のデータを含むため、統合的な設計が必要。 データの整合性やセキュリティ対策を考慮した設計が重要。
ベース・レジストリ事業の維持には、データ更新やシステム改修など、継続的なコストが発生する。 費用対効果を十分に検討した上で、事業を進める必要がある。
ベース・レジストリ事業は、自治体との連携が不可欠。 自治体の負担を軽減し、協力体制を構築することが重要。

今後の展望

ベース・レジストリ事業は、行政機関が保有するデータの利活用を促進し、行政サービスの向上に貢献する。
自治体との連携を強化し、ベース・レジストリ事業の維持・更新を効率的に行う必要がある。
データのセキュリティ対策を強化し、個人情報の保護を徹底することが重要。

公開プロセス対象事業の選定



会議では、GビズIDとベース・レジストリ事業が公開プロセスの対象事業として選定されました。公開プロセスでは、国民からの意見を広く募り、事業の改善に活かしていく予定です。

まとめ



デジタル庁は、GSS、GビズID、ベース・レジストリ事業の推進を通じて、デジタル社会形成を加速させていくことを目指しています。これらの事業は、行政機関の業務効率化やセキュリティ強化、国民への行政サービスの向上に大きく貢献する可能性を秘めています。しかし、同時に、課題も多く存在しており、今後の事業推進には、関係者の協力と継続的な改善が必要となります。

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