次世代半導体製造技術の進化
株式会社レゾナックとPulseForge, Inc.が、2025年4月に次世代半導体パッケージ向けの光剥離プロセスに関する戦略的パートナーシップを結成しました。この技術は、半導体デバイスの製造過程やパッケージング工程で、ウエハをガラスなどのキャリアに一時的に固定するプロセスに関連しています。レゾナックの仮固定フィルムとPulseForgeの光照射システムを活用することで、半導体パッケージの歩留まりと生産性を向上させることが目指されています。
製造プロセスの革新
特に、AI向けなどの次世代半導体パッケージは、2.5Dや3Dといった複雑な構造が多いため、その製造プロセスでの高い歩留まりと生産性が求められています。仮固定材は、ウエハやチップをガラスキャリアに一時的に接着させ、その後の加工プロセスを経て剥離されます。そのため、仮固定材は多様な加工プロセスに適合し、容易に除去可能であることが重要です。
PulseForgeの技術的優位性
PulseForgeは高エネルギーの光照射システムとガラスキャリアを持ち、ウエハやパッケージに熱や物理的ストレスをかけることなく、迅速に仮固定材を剥離できます。この技術により、「すす」などの異物が発生せず、環境負荷の軽減にも寄与しています。さらに、この剥離方法は一般的なレーザー照射に比べ、高い歩留まりや生産性を実現し、コストの低減にも貢献します。
高性能仮固定フィルムの開発
レゾナックは、PulseForgeの光照射システムを活用するための仮固定フィルムを新たに開発しました。このフィルムは膜厚の均一性が優れており、厚さ20μmの超薄型ウエハにも対応可能です。また、ウエハやパッケージからの剥離が容易で、洗浄プロセスを大幅に軽減することができます。
レゾナックは、本技術に関する基本的な方法特許を保持し、PulseForgeには独占的なライセンスを付与しています。このライセンスによって、次世代プロセスの実現に向けた独自の地位が確保されています。
両社の共同取り組み
レゾナックとPulseForgeは、アジア、北米、ヨーロッパで顧客対応やマーケティング活動を共同で展開していく方針です。技術面では、プロセス統合や素材の適合性の確保といった領域で共創が進められます。
提携に関してレゾナックの阿部執行役員は、「この取り組みは、先端技術への高い期待を背景にしています。光剥離プロセスは、新たな市場のニーズに応える可能性を秘めた技術です。」と述べています。一方、PulseForgeのCEO、ジョナサン・ギブソンは、レゾナックが光剥離プロセスの性能向上において理想的なパートナーであると強調しました。
未来を見据えたパートナーシップ
この提携を通じて、両社は次世代半導体製造の進化を加速させ、半導体業界における革新を目指す姿勢を明確にしています。レゾナックとPulseForgeの協力により、新たな製造技術が実現する日も近いと言えそうです。