東京科学大学、村上教授のCO₂分離技術に期待
国立大学法人東京科学大学の村上陽一教授が、科学技術振興機構(JST)の『GTIE GAPファンド2024年度 エクスプロールコース(第2回)』において、新たなテーマを提案し採択されました。このテーマは「2.5次元COFを用いた新世代CO₂分離回収材の概念実証及び新規用途開拓」と名付けられています。研究者としての村上教授は、ゼロカーボンエネルギー研究所でフューチャーエネルギー部門の教授職にあります。
研究の背景と目的
CO₂排出削減が国際的な課題となっている中、新たな技術の確立が急務となっています。村上教授の研究は、世界初の2.5D-COF(共有結合性有機骨格)技術を基に、CO₂の分離と回収を実現する新しい材料を開発することを目的としています。具体的には、この材料を使用して、CCS(Carbon Capture and Storage)およびCCU(Carbon Capture and Utilization)の技術を向上させる新しい固体CO₂分離材を作成し、その商用化を展開することを考えています。
株式会社みらい創造インベストメンツとの連携
村上教授のプロジェクトは、株式会社みらい創造インベストメンツとも密接に連携して進行します。同社は、技術の事業化とスタートアップ創業を支援し、村上教授の研究成果を市場に出すための伴走者となります。研究から実用化に向けた流れの中で、技術的な側面だけでなく、事業戦略やマーケティングなど、総合的な支援を行う心強い存在です。
新世代CO₂分離材の特長
今回のCO₂分離回収材は、既存の分離技術と比較しても高い効率が見込まれており、環境に優しい方法でのCO₂の処理が期待されています。研究チームは特に、企業との連携を通じて実際の市場ニーズに応じた新規用途を開発することで、この技術の適用範囲を広げる方針です。
グローバル市場への展開
本プロジェクトは日本国内だけでなく、国際的な市場への展開も視野に入れています。村上教授は、潜在的な顧客企業との連携を図りながら、日本初のCOFスタートアップとして世界市場に進出することを目指しています。これは、CO₂排出削減といった社会的ニーズにも寄与するもので、今後の展開が大いに期待されます。
GTIE GAPファンドプログラムについて
GTIE(Greater Tokyo Innovation Ecosystem)は、東京大学、早稲田大学、東京科学大学が主幹となって運営されているプログラムで、大学発の新しい産業の創出を支援しています。採択された研究テーマには資金が提供され、スタートアップの立ち上げが促進されます。この取り組みを通じて、イノベーションが引き起こされ、新たな経済活動が活発化することが期待されています。
まとめ
今回の村上教授のテーマ採択は、地域や国を超えたイノベーションの促進に繋がる大きな一歩です。CO₂分離技術に革新をもたらすこのプロジェクトは、未来の環境問題解決に寄与する可能性を秘めています。今後の動向を見守りつつ、村上教授とそのチームの挑戦に期待が高まります。