成熟した経理業務のための革新
企業の経理部門は、日常的な業務の中で多くの手間をかけています。特に、月末月初には経費精算や支払依頼伝票の確認が集中し、経理担当者の負担が増大するのが常です。申請内容と共に提出される請求書PDFの確認作業は、金額や取引先名、日付などの情報が正しいかを目視でチェックするため、多くの時間と労力を要します。こうしたなか、内容の整合性を自動的にチェックすることで、業務の効率化を図る取り組みが進められています。
SCSKとファーストアカウンティングの戦略的提携
このたび、SCSK株式会社とファーストアカウンティング株式会社は、SCSKが提供する次世代ERP「PROACTIVE」と、ファーストアカウンティングのAI OCRソリューション「請求書Robota」の連携を発表しました。この協力によって、請求書PDFと支払依頼データの照合作業がAIによって自動化されることになり、ヒューマンエラーによるミスや出金トラブルのリスクが大幅に減少します。
SCSKのPROACTIVEは、AIネイティブな設計を持つ次世代型ERPで、企業の業務を支えるために様々な機能を提供します。一方、ファーストアカウンティングの請求書Robotaは、高い読み取り精度を誇り、経理の正確性をサポートします。現在、請求書の金額や取引先名、日付などの重要な情報は96%以上の正確さで読み取られ、手作業によるチェックの必要が大幅に削減されます。
無駄を省く新たな会計プロセスの構築
この連携により、経理部門は集中業務がある月初月末に平準化された業務プロセスを導入し、ミスが少ない清書環境を確立することが可能となります。自動照合機能は、出金業務において特に影響の大きい伝票合計金額や消費税、取引先名、振込先口座情報などの確認を行います。この仕組みは、経理業務の生産性を高めるだけでなく、ガバナンスの強化にも寄与します。
今後の展開と期待
SCSKとファーストアカウンティングは、今回のAI OCR連携機能を皮切りに、さらなるサービスの深化を目指しています。具体的には、取得した情報を基にした伝票の自動起票機能の開発を進め、経理部門が人力で行っていた業務を大幅に効率化し、リソースの再配分を可能にします。これにより、経理パーソンが戦略業務に注力できる環境が整うのです。
両社はパートナーシップを強化し、この取り組みを通じて蓄積された知見を活かしつつ、より高度で効率的な経理業務の実現に向けてさらなる努力を続けていきます。
経理DXの未来
SCSKの菊地真之氏は、「この連携により、経理業務のDXを加速させる重要なステップが踏めたことを大変嬉しく思います。AI技術を駆使し、ガバナンスと業務効率を両立させていきます」とコメントしました。また、ファーストアカウンティングの森啓太郎社長も「請求書処理の効率化と内部統制の強化に貢献し、経理のシンギュラリティを実現していく」と意気込みを示しています。
最後に
今回のSCSKとファーストアカウンティングの連携は、経理業務において新たな扉を開くプロジェクトです。日々の業務を支えるITサービスがどう進化し、経理部門の負担を軽減させるか、今後の展開が楽しみです。これにより、多くの企業が業務効率化を実現する契機を得ることが期待されます。