九州の新たな挑戦:グリーンコープの国産飼料センター
九州で注目される国産飼料センター、グリーンコープTMRセンターがついに大分県日田市で稼働を開始しました。このセンターは、「日本一の高品質で安い、びん牛乳」を実現するために設立され、年間15,000トンの国産飼料を生産する能力を持っています。
背景にある国際情勢の影響
現在、ウクライナなどの国々での国際情勢や円安などが影響し、輸入配合飼料の価格が高騰しています。例えば、トウモロコシの輸入価格は10年前と比較して大幅に上昇しており、飼料の自給率もわずか26%に留まっています。こうした現状に対して、国産の飼料を使用することで、安全で安定した牛乳供給体制を築く必要が生じています。
三者協力による新たな経営モデル
グリーンコープは、下郷農業協同組合および耶馬溪酪農組合と提携し、一貫した体制を確立しました。この提携により、国産飼料の製造から乳牛の飼育、さらに牛乳の製造に至るまでを三者で協力して行うことが可能になります。具体的には、1000頭の乳牛を育てる酪農場、年間8,000トンの生乳を生産する体制、そして700万本の牛乳を製造する工場が整備される予定です。
これらの事業は、稼働開始したグリーンコープTMRセンターを第一弾として進めていくことになります。
珍しい生産者主体の経営モデル
このプロジェクトでは、生産者たちが直接酪農場や乳業工場、飼料センターに出資し、そして経営に関与するというユニークな特徴があります。生産者が直接経営に関与することで、流通と生産を一体化した「新しい産直」を目指しているのです。これは非常に珍しい事例であり、畜産業界に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。
グリーンコープTMRセンターの詳細
- - 住所:大分県日田市大字渡里346番地1
- - 総面積:土地15,000平方メートル、建物2,000平方メートル
- - 生産量:1日40トン、年間約15,000トンの飼料を生産
このセンターは、グリーンコープ共同体によって運営され、地域の特産品を活かした持続可能な形での生産が期待されています。
グリーンコープ共同体の理念
2018年には、九州、近畿、中国、福島の団体と共に一般社団法人グリーンコープ共同体を設立し、「安心・安全な食べものを提供し、地域を豊かにする」という理念のもと、協力し合って活動しています。特に、母親たちの「子どもたちに安心な食を提供したい」という思いが多くの人々に受け入れられ、この取り組みは社会的意義を持っていると言えます。
最後に
グリーンコープTMRセンターの稼働は、単なる飼料生産に留まらず、安全で持続可能な牛乳供給のスタートを示すものです。地域の農業と畜産業を支える新たな取り組みが、九州から全国へと広がることを期待しています。