フィリピンの信用格付が安定、経済回復の展望広がる

フィリピン、信用格付け「A-」の維持と経済の見通し



最近、日本格付研究所(JCR)がフィリピンの信用格付けを「A-」に据え置き、その見通しを「安定的」に変更しました。この発表は、世界的に格下げの動きが広がる中で特筆されるべきものであり、フィリピンは地域や国際的な信用格付け機関からの投資適格格付けを維持している数少ない国の一つです。

JCRは、フィリピンのマクロ経済の健全性を背景に、コロナウイルスの影響が薄れることが期待されていると述べています。発表によると、フィリピン経済はコロナ禍からの回復を織り込んだ成長見通しを持っており、今後の成長率は、今年が4.0~5.0%、来年は7.0~9.0%、2023年には6.0~7.0%に達すると予測されています。

フィリピンのカルロス・ドミンゲス財務大臣は、JCRが直面する短期的な課題を見据え、ドゥテルテ政権の努力を評価してくれた点に感謝の意を表明しました。彼は、政府の回復プログラムにはワクチン接種の迅速化、インフラ整備の加速、税制の近代化についての改革が含まれると説明しています。このような取り組みを通じて、フィリピン政府は持続的な支出を行いながら、経済の健全な回復を目指しています。

フィリピン中央銀行のベンジャミン・E・ディオクノ総裁は、同国の銀行システムが流動性の確保に努めており、経済への影響を緩和するために様々な施策を講じているとコメントしています。この結果、フィリピンは対外的なショックに対するバッファーを持ち、外貨準備高が対外債務を上回る状況を維持しています。

特に、フィリピンの総外貨準備高は、2021年7月末時点で1,072億ドルに達しており、これは短期対外債務の7.7倍に相当します。この数字は、JCRがフィリピンの経済の回復力を評価する根拠となっており、今後の経済動向に期待を寄せています。

また、JCRはフィリピンの銀行セクターについても言及しており、不良債権の増加が見られるものの、銀行は十分なバッファーを持っていると評価しています。フィリピン中央銀行の規制要件を大きく上回る自己資本比率(CAR)を維持しており、その健全性が評価されています。

さらに、フィリピン政府はインフラ支出にも力を入れており、国内総生産(GDP)に対するインフラへの支出比率は近年増加傾向にあります。「Build, Build, Build」プログラムにより、周到な計画のもと、インフラ整備の推進が行われています。

興味深いのは、JCRの「A-」格付けがフィリピン政府にとって将来的なサムライ債発行時に有利に働く可能性がある点です。特に、日本のファンドは「A-」以上の格付けを受けた国の国債にしか投資しないことが多いため、フィリピンが新たに資金調達を行う際には、その信用格付けが大いに役立つでしょう。

フィリピンは2021年3月に総額550億円(約240億ペソ)のゼロクーポンサムライ債を発行しています。今後、JCRの評価を背景に、フィリピンがより良い成長の道を歩むことに期待がかかります。フィリピン政府が新型コロナウイルスの影響を乗り越え、経済を安定成長軌道へと導くことができるのか、引き続き注目が必要です。

会社情報

会社名
フィリピン中央銀行
住所
A. Mabini St. cor. P. Ocampo St.,Malate Manila, Philippines
電話番号

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