副業・兼業解禁の動きが広がる
近年、企業の副業・兼業に対する考え方が大きく変わりつつあります。エン株式会社が行った調査によると、約49%の企業が社員の副業や兼業を認めていることが明らかになりました。この割合は前年よりも3ポイントも上昇しました。これにより、多くの企業が依然として社員の本業に専念してもらいたいと考える一方で、柔軟な働き方を希望する社員の声にも耳を傾け始めたのかもしれません。
認める理由と期待される効果
副業・兼業を認める企業が多くなるにあたり、どのような理由からその方針を取っているのでしょうか。調査結果によれば、実に68%の企業が「社員の収入増」を主な理由として挙げています。これは、社員が副業を通じて得られる追加収入が、生活の質を向上させるとともに、モチベーションも向上させるという期待があるからです。また、優秀な人材の定着や離職防止に繋がると考える企業も多く、37%がこの点を挙げています。
副業・兼業のメリットとして、社員のスキル向上や人脈の広がりも指摘されています。一部の企業では、社員が他社で得た経験を本業に持ち込むことで、より良い業務改善が実現しています。たとえば、あるビジネスデザイナーは副業での成功体験が本業のクライアントへの提案力向上に直結したと語っています。
副業・兼業を認めることでの困惑
一方で、副業・兼業を容認したことでの困惑の声も出ているのが現実です。「特によかったことはない」との回答が42%に達した一方で、「労働管理が煩雑になった」という懸念も尋ねられました。このように、本業に支障が出ることを恐れる企業も少なくありません。
大きな壁:過重労働の問題
副業・兼業禁止の背景には「本業に専念してほしい」との強い意見があります。多くの企業が、社員の過重労働を懸念しているためです。過労に繋がることを恐れる企業の気持ちも理解されますが、今の時代では社員が自らのキャリアを切り拓くためには、柔軟な働き方が求められています。
副業を受け入れる企業の傾向
最近の調査では、24%の企業が社外からの副業・兼業人材を受け入れています。特に人手不足が深刻化する中で、53%の企業が「人手不足解消」を主な理由としており、専門人材の獲得も重要な目的となっています。
このように、副業や兼業の受け入れを通じて自社業務の効率化を図る企業が増加しています。副業者の持つ新たな知見やスキルを活用することで、自社の成長に繋がると期待されています。実際に、別業界の人材がもたらす新たな視点や創造性が、他の社員にも良い刺激を与えることがあります。
今後の展望
今後も副業・兼業を容認する企業が増えると予想されますが、それに伴い制度の見直しや労働環境の整備が求められるでしょう。企業は副業を通じた多様な働き方を受け入れ、社員自身の成長や組織の発展を目指す必要があります。この変革は、企業の文化や価値観にも影響を及ぼし、より良い労働環境を構築するきっかけとなるでしょう。
副業・兼業の広がりが今後の企業経営にどのように影響するのか、引き続き注目していきたいところです。