鉄道座席予約システムMARS-1がIEEE Milestoneに選定
2025年5月20日、鉄道技術研究所と日立製作所が開発した世界初の自動鉄道座席予約システム「MARS-1」が、IEEE Milestoneとして認定されることとなりました。これは、今来るべき電気・電子技術の発展に相当な影響を与えたとして、IEEEによる栄誉ある表彰なのです。
MARS-1の開発背景
このシステムは、1960年に旧日本国有鉄道(以下、国鉄)によって導入され、初めて磁気電子方式を用いた自動予約システムとして注目を集めました。提唱者である穂坂衛博士が率いる鉄道技術研究所により、国鉄の運営と提供の流れを大きく変え、より効率的な鉄道の利用を実現しました。
MARS-1は、初期段階で1日あたり3,600座席のリアルタイム予約に対応しており、最大で15日先の予約が可能な構造でした。その後の技術革新により、1965年に新幹線の座席予約にも利用されるようになり、さらなる成長を遂げたのです。
実績と進化
時間が経つにつれ、MARS-1はタスク共有型マルチコンピュータアーキテクチャに進化しました。その進展により、最終的には1日当たり100万枚以上の切符を販売する能力を備えるに至りました。この流れは世界中の鉄道切符の販売方法に革命をもたらし、多くの国々でのシステム導入が進められました。
IEEE Milestoneについて
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)とは、電気・電子技術の専門家による世界最大の組織であり、社会と産業の発展に寄与した技術革新を表彰することを目的とする「IEEE Milestone」制度があります。この制度は、1983年に設立され、25年以上経過した技術の歴史的貢献を記念するために確立されました。過去には、八木・宇田アンテナや東海道新幹線といった重要な技術が認定されており、日本の技術レベルの高さを示す大切な証拠でもあります。
今後の展望
今後予定されているIEEEからの銘板贈呈式は、MARS-1の技術革新の重要性を再認識し、その功績を世に知らしめる大きな機会となります。日本の鉄道業界は、MARS-1の技術を土台にさらに進化を遂げることでしょう。
このように、MARS-1の選定は単なる歴史的な出来事に留まらず、未来の技術革新への道しるべともなるのです。