滋賀県犬上川で発見されたオオサンショウウオの交雑個体
令和6年7月から8月にかけて、滋賀県東部の犬上川においてオオサンショウウオに関する目撃情報が複数寄せられました。この情報を受け、琵琶湖博物館と地域の関係者が連携し、調査を行った結果、特定外来生物に指定されているオオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオとの交雑個体が確認されました。
この交雑個体は、7月10日に釣りをしていた方によって初めて報告され、その後も他の目撃情報が次々と伝えられました。琵琶湖博物館の学芸員が現地調査を行ったところ、川の中にオオサンショウウオ類が生息していることを確認しました。その見た目は、在来種と外来種が交雑した個体に非常に似ていることがわかりました。
政府機関と協力し、8月10日に捕獲を行ったこの個体は、全長134センチメートル、体重17.16キログラムのかなり大型のものでした。DNA分析によって、この個体がオオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオとの交雑個体であることが確認されました。さらに、その後、専門家が行った調査によれば、この個体は他の交雑個体同士がさらに交雑したF2世代であることが判明しました。
今回のケースは、全国的にも非常に稀なものであり、犬上川でオオサンショウウオが確認されたのは初めてです。これまでの調査や文献に基づくと、この地域にはオオサンショウウオが生息していないとされており、この個体は他の場所から人為的に持ち込まれ、放流された可能性が高いとされています。
また、オオサンショウウオ属に属する種は、令和6年7月1日から特定外来生物として指定されており、これに代わる個体の飼育や移動、野外に放すことは法律で禁止されています。違反した場合には厳しい罰則が課されるため、地域住民や関係者には十分な注意が必要です。
捕獲したオオサンショウウオの個体は今後、琵琶湖博物館の標本として保管され、将来的な研究にも役立てられる予定です。在来種のオオサンショウウオは特別天然記念物に指定されているため、触ったり捕獲したりすることは許可が必要です。外見的には区別が難しいため、野外で目撃した場合には、安易に手を出すことは避け、専門機関に相談することが求められています。
このような調査は、滋賀県のオオサンショウウオを守るための重要な措置です。今後もこの貴重な生物の生態を守るために、発見や目撃情報には注意を払い、地域での取り組みを進めていく必要があります。