新しい悪性黒色腫治療法
2025-01-28 10:31:55

高腫瘍選択性を持つ新たな悪性黒色腫治療薬が開発される

新たな悪性黒色腫治療薬の開発について



悪性黒色腫に対する新たな治療法として、千葉大学大学院薬学研究院を中心とした研究グループが開発したアスタチン-211(211At)標識ペプチド薬剤の成功が報告されました。この研究は、悪性黒色腫という皮膚がんにおいて高い腫瘍選択性と治療効果を持つ薬剤を目指して行われました。

研究の背景



悪性黒色腫は、皮膚がんの中でも特に悪性度が高く、放射線治療に対しても抵抗性を示すことで知られています。それゆえ、新たな治療法の開発が急務となっています。これに対し、本研究グループは、アルファ線を放出するアスタチン-211を利用した新しい標的治療の実現を目指しました。アルファ線治療は、高エネルギーであるため、腫瘍に対する治療効果が期待され、副作用が少ないとされています。

開発プロセス



研究チームは、211Atを結合したペプチド薬剤を開発し、特に悪性黒色腫に対して高い効果を発揮させることを目指しました。211Atは半減期が短く、迅速にがん部位に送達することが求められます。このため、ペプチド薬剤という新たなアプローチが取られ、高腫瘍選択性を持つ薬剤の設計と評価が行われました。最終的には、211At標識ペプチド薬剤[211At]NpG-GGN4cが高い腫瘍集積を示し、治療効果も確認されました。

主要成果



研究の結果、[211At]NpG-GGN4cはB16F10細胞においても高い親和性を示し、マウスに投与した際に腫瘍への集積が明らかになりました。また、この薬剤は腎臓以外の正常組織にも集積せず、体内でも良好な安定性が確認されています。さらに、治療試験の結果、腫瘍の増殖を抑制し、生存期間が延長されることが示されました。

展望と未来



この研究により、悪性黒色腫に対する新しい標的アルファ線治療法が確立され、その応用が期待されています。このような新たな治療法は、他のがん種に対するペプチド薬剤の開発にも寄与する理念が示されています。

研究資金と支援



この研究は、科学研究費助成事業の支援を受け、210Atは短寿命RI供給プラットフォームによって供給されました。

結論



悪性黒色腫を対象とした新たな治療法の確立は、今後の医療において重要な一歩です。この研究は、難治性がんに対する新たな治療法の開発や、さらなる研究の発展に繋がることが期待されています。


画像1

画像2

画像3

会社情報

会社名
国立大学法人千葉大学
住所
千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33 
電話番号
043-251-1111

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。